老化物質AGEを減らす調理法は?...最新科学が解き明かす「老けない食べ方」とは
ニューズウィーク日本版 / 2024年12月5日 18時42分
タンパク質の糖化とAGE
一方、あまり耳慣れない「糖化」は体内の過剰な糖がタンパク質にこびりつく現象で、酸化と並んでタンパク質の劣化、すなわち老化を促進する主要因となる。
糖にまみれて変性・劣化したタンパク質は、「AGE(終末糖化産物)」と呼ばれる老化物質となって体内に蓄積されていく。
皮膚細胞のタンパク質がAGE化すればしわやシミのもとになり、血管にたまれば動脈硬化や高血圧の原因となる。骨をもろくしたり、慢性炎症を引き起こして癌や認知症の引き金になることも報告されている。
オランダのフローニンゲン大学の研究チームが住民7万人以上を追跡した長期研究では、AGEの蓄積量が多い人は糖尿病や心臓病になる確率が3倍高く、死亡リスクは5倍に達していた。
体内のAGEが加齢とともに増えるのは避けられないが、そのペースを緩やかにする方法はある。昭和大学医学部の山岸昌一教授(糖尿病・代謝・内分泌内科学)によれば、AGEが蓄積する経路は2つ。
1つは血中の過剰な糖がタンパク質と結び付く「体内ルート」で、これを避けるには血糖値が急上昇する「血糖スパイク」を抑える食生活──早食いをしない、野菜など食物繊維の多いものを先に食べ、ご飯などの糖質を最後に食べるなど──が望ましい。
実際、食後の血糖スパイクを抑えることで、血中のAGE値が3カ月間で3割ほど低下したという研究もある。
長寿の国である日本の伝統的な食事はやはり理想的 YUMEHANA/ISTOCK
もう1つは食べ物に含まれるAGEを口から取り込む「食事ルート」で、体内にたまったAGEの3分の1を占める。食材そのものに含まれるAGEは野菜よりも肉や魚介類、ベーコンやミートボールなどの加工品に多いが、「何を食べるかと同じくらい、どう調理するかが重要だ」と、山岸は指摘する。
AGEは糖とタンパク質が高温で加熱されるほど生成されやすいため、同じ食材でも「揚げる」「焼く」は「煮る」「蒸す」「ゆでる」よりはるかに大量のAGEを生み出す(鶏の唐揚げは蒸し鶏や水炊きよりAGE含有量が5~10倍多い)。
また、電子レンジを長時間使う調理はブドウ糖をタンパク質にくっつきやすい性質に変えるため、食材のAGE化を加速させるという。
揚げ物やステーキを食べないなんて無理と思うかもしれないが、0か100かで考える必要はない。焼き肉を食べる回数を半分に減らす、唐揚げの鶏肉はレモン汁か酢に15分ほど漬けてから揚げる(酸性の環境では糖とタンパク質の結合が妨げられる)、AGE生成抑制効果があるキノコやブロッコリースプラウト、セロリを一緒に食べる──。
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