老化物質AGEを減らす調理法は?...最新科学が解き明かす「老けない食べ方」とは
ニューズウィーク日本版 / 2024年12月5日 18時42分
「そうした日々の小さなひと手間が、20年後、30年後の健康を大きく左右する」と、山岸は言う。
「揚げ物よりも蒸し料理」「野菜やナッツ類が身体にいい」なんて当たり前? そうかもしれない。実際、老化と食事に関する研究が進むほど、地中海地域や日本のような長寿エリアで先人たちが続けてきた食習慣の正しさが再確認されることも多い。
食生活や体質に個人差があるからこそ現状を正確に知るモニタリングが重要になる WUTWHANFOTO/ISTOCK
「伝統的な日本の食事は、塩分が多いことを除けばほぼ完璧だ」と、100歳以上の長寿者の生活習慣に詳しいお茶の水健康長寿クリニックの白澤卓二院長は語る。
「血糖値を上昇させにくい玄米、味噌や納豆などの発酵食品、皮も含めて食材を丸ごと食べるホールフード。全てを再現するのは難しいかもしれないが、オーガニックの食材を選び、添加物たっぷりの加工食品を避けるだけでもリスクをかなり回避できる」
こうした王道に加え、生涯に何度か訪れる「老化の崖」に備えて重点的に意識すべきポイントもある。
米スタンフォード大学の研究チームは今年8月に発表した論文で、人体は同じペースで直線的に老いていくわけではなく、44歳と60歳付近で一気に老化が進むタイミングがあることを明らかにした。
残業の日の夕食時間に要注意
被験者の遺伝子やタンパク質、腸内細菌の変化を継続的に調べたところ、44歳前後では脂質とアルコールの代謝に関する数値が一気に悪化しており、心血管疾患や糖尿病などの代謝疾患のリスクが高まることが示唆された。
数値の変化が病気に直結するとは限らないが、この結果は、40代でメタボリックシンドローム(内臓脂肪が燃えにくくなって高血圧や高血糖を引き起こし、動脈硬化が進む)の該当者が急増する現状とも合致している。
2回目の「崖」が迫る60歳前後では、免疫機能の低下(感染症や癌などあらゆる病気の引き金になる)に加えて、筋肉や皮膚の衰えが加速するとのデータが示された。
実際、筋肉量と基礎代謝が落ちて、ロコモティブシンドローム(骨や関節、筋肉、神経などの運動器の機能が衰える)のリスクが急激に高まるのはこの世代だ。
こうした崖の存在を知り、その手前で適切なリスク管理をすることができれば、その先の人生を健康に過ごせる可能性が高まる。
40代からの「メタボ世代」にまず必要なのは「20代、30代の頃とは違うことを強く自覚し、メンテナンス方法を切り替えることだ。自分の身体という乗り物をケアできるのは自分しかいないのだから」と、東京大学未来ビジョン研究センターの古井祐司特任教授(予防医学)は言う。
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