1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

老化物質AGEを減らす調理法は?...最新科学が解き明かす「老けない食べ方」とは

ニューズウィーク日本版 / 2024年12月5日 18時42分

脂っぽい動物性タンパク質を避けたり飲酒の量に気を付けるのは基本だが、さらに夜8時以降の食事を控えることも大きなポイントだ。残業が多い人は夕方のうちに主食(糖質や脂質を含む)を取り、遅い時間には消化のいいものを少量だけ食べる習慣に切り替える。

夜遅くに食事をすると脂質を分解し切れず、睡眠の質が低下して代謝がさらに悪化し、メタボの症状が進行するという悪循環に陥るという。

栄養学もオーダーメイドに

一方、60代の「ロコモ世代」では、重篤な疾患にならないことと並んで、身体機能の維持が最重要課題に浮上する。減少しがちな筋肉量と基礎代謝を維持するには運動と並んで、良質のタンパク質(脂肪の少ない肉類、魚介類、卵、乳製品、大豆製品など)を多めに摂取することが必須。

「加齢とともに食べられる総量が減ってくるため、食事中のタンパク質の割合を意識的に高める必要がある」と、古井は言う。

特に女性は若い頃から運動量と筋肉量が少ない傾向があるため、早めの対策がその後のQOL(生活の質)を大きく左右する。「寿命が延びた分、年齢や体調の変化に合わせて何度かギアチェンジをして身体を長持ちさせる工夫が必要になる。そうすれば、大きな事故なく遠くまでたどり着ける」

その際に欠かせないのが現状を正確に知るモニタリングだ。身体のどの部分でどの程度、老化が進んでいるか。食生活のパターンにどんな癖があるか。

自己流の解釈ではなく健康診断や人間ドックを受けたり、食事の内容を記録したりして客観的な指標で状況を把握したい(日本では40歳以上を対象にメタボの症状に焦点を当てた健診が行われ、市町村では主に60代以降を対象にロコモ関連の項目を含めた健診が実施されている)。

ほかにも、遺伝子診断や腸内細菌叢(そう)の検査によるリスク予測、皮膚に蓄積したAGEを測定する医療機器、細胞の酸化ダメージを評価する酸化ストレス検査など、現状を知るためのサービスは幅広くある。

こうした検査の精度がさらに高まれば、いずれは一人一人の体質や健康状態に合わせたオーダーメイドの食事アドバイスが当たり前になる日が来るかもしれない。

医療の分野では既に個人の遺伝情報に合わせて治療法を選ぶ「精密医療」が普及しており、その波は栄養学の世界にも迫っている。米国立衛生研究所(NIH)は2020年から10年間の重点戦略として、各自の遺伝子や腸内細菌叢に応じて最適な食事を特定する「精密栄養」プロジェクトを立ち上げた。

ただ、どれだけ科学が発達しても、最後の関門は自分がアクションを起こすかどうかだ。厚生労働省の調査では、健診で血液検査を受けたものの、その結果を認識していない人が3分の1を占め、食生活の改善や医療機関の受診など必要な対応を取れていないことがうかがえる。

死者数に対する突然死(大半が心疾患と脳血管疾患)の割合が40~45歳で特に高いのも、仕事や家庭の責任が重い世代で、小さな変化の兆しを見過ごしがちなことが一因かもしれない。

さらに、最近は60代以降も働き続ける人が増え、自分の健康管理をつい後回しにしてしまう傾向が高齢世代でも強まっていると専門家は危惧する。

だからこそ、まずは目の前の食事から。年間1000回以上の積み重ねは、良くも悪くも必ず未来を変えるはずだ。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください