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「ロマコメの神様」ノーラ・エフロンが女性たちに届けたかったメッセージとは?...「人生は全てネタの材料」

ニューズウィーク日本版 / 2024年12月31日 10時20分

「四角いテーブルは使わないで。丸テーブルのほうが会話が弾むから」

「周囲の人たちの話を聞く限り、とても気難しい人だった」と、カプランは言う。「でも、女性映画監督の草分けとして、そして臆することなく本当のことを描いた脚本家として、軽く見られないためにいつも強い心を持ち、自分のやり方を貫く必要があったのだろうと思う」

62年に本誌「ニューズウィーク」英語版で働いていたこともあるエフロンは、「人生は全てネタの材料」という言葉で知られている。この言葉はエフロンのキャリアを貫く指針だった。

「人生で経験することは全て、いいことも悪いことも、愉快なことも悲しいこともことごとく、なんらかの形で将来の作品のネタになるとエフロンは考えていた」と、カプランは説明する。

カプランによれば、その典型が『心みだれて』だ。83年にエフロンが小説として発表し、その3年後にメリル・ストリープとジャック・ニコルソンの主演で映画化した作品である。

「フィクションの要素も織り込まれているけれど、エフロン自身が(ウォーターゲート事件を報じた元ワシントン・ポスト紙記者の)カール・バーンスタインとの結婚生活で経験したこと、特にバーンスタインの不倫を忠実に描いている」と、カプランは言う。

『恋人たちの予感』のメグ・ライアン(左)とビリー・クリスタル ©2024 ABRAMS, COLUMBIA PICTURES/COURTESY EVERETT COLLECTION

 

女性たちに力を与える

『恋人たちの予感』『めぐり逢えたら』『ユー・ガット・メール』(いずれもメグ・ライアンが主演)に共通するテーマは、男女の駆け引きだ。

「完璧とは言えず、洗練されていなくて、複雑な一面を持った女性主人公が登場することもエフロンの作品の際立った特徴と言える」と、カプランは言う。

「セックスと女性の快楽をめぐり率直な会話が交わされる『恋人たちの予感』のような映画は新鮮だった。見る人がリアルだと感じ、それでいて憧れを抱けるような世界がつくり上げられていた」

エフロンのロマコメが女性に力を与えることについては、「彼女の映画を見ている女性たちは、自分も見られているように感じる」と語る。「多くの女性が登場人物に自分を重ね、自分のひねくれたところや欠点を受け入れることができた」

遺作となった『ジュリー&ジュリア』をはじめ、エフロン作品で食べ物が果たす役割も無視することはできない。

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