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生活保護はホームレスを幸せにするか、それを望んでいるのか...福祉国家・日本の現実

ニューズウィーク日本版 / 2024年12月28日 15時50分

生活保護を受給し、施設生活を経験したあるホームレスの話。

「10年前、私は(病気になって)施設に入ったが、病状はむしろ重くなった。中は話に聞いていたほどよくなかった。小さな施設だと20人以上を受け入れるが、浴室と洗濯機は1つずつしかなかった。大きな施設では50人以上が入居できるが、洗濯機は6台しかなく、みんな列に並んで待たなければならなかったらしい。

私が入居していた施設は2人で1室だった。私は体が弱っていたので、部屋で静かに休む必要があったが、ルームメイトはいつもラジオをつけて音楽を聴いていて、うるさくて眠れなかった。

最終的に、そこを出ることにした。最も不満で悔しいのは、国から毎月もらえる13万5000円の補助費は、家賃と食事代を差し引いても7万円くらい残るはずなのに、実際に私がもらえていたのは3万円しかなかったことだ。

これはまだいいほうで、5000円しかもらえない施設もあったらしい。じゃあ、残りのお金はどこに行ったのかと聞かなければならない。誰かが自分の財布に入れたんじゃないだろうか。当時は、泣き寝入りするよりも、自殺して抗議しようと思ったぐらいだ」

「住居も食事も世話になるけれど、縛られるのは嫌だ」

次は、施設経験がない人の話だ。

「俺はホームレスになって12年で、今70歳、生活保護を申請したことはない。もし申請すれば、ちょっと順番を待てばもらえるだろう。申請したくない理由は、施設に対する行政管理がよくないと聞くから。

表向きはいいが、中は違うとよく言われている。お金(保護費)をくれ、住むことも食べることもお世話になるんだけど、縛られるのは嫌だ。それに内部の人間関係もよくないらしく、住んでいる人がハッピーな感じはなさそうだ。

施設とかアパートを区役所が直接は運営しないで、下請けに任せるのが根本的な問題だと思う。管理人みたいな人に管理されるが、優しくない人もいる。トラブルも発生するかもしれない。だから、入ってもすぐに出てしまう人がいるわけだ。

もちろん、体の具合がよくない人にとっては施設に入るのがいいと思うが、俺はまあまあ元気だし、そんな所なら入らないほうが楽だ」

2人の福祉施設に対する印象はいずれもネガティブだ。ただし、強調しておきたいのは、これはごく一部の声であるし、彼らはそもそも路上生活を選んだホームレスであること。生活保護を受け、いま施設で生活している人の中には満足している人もきっといるだろう。

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