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生活保護はホームレスを幸せにするか、それを望んでいるのか...福祉国家・日本の現実

ニューズウィーク日本版 / 2024年12月28日 15時50分

客観的に言って、問題のある施設は確かに存在するが、困っている人たちのために良心的に運営されている施設もたくさんあるはずだ。悪質な「生活保護ビジネス」「貧困ビジネス」も一時期話題になったが、現在運営中のホームレス向け施設の大半は、以前より改善されてきているようだ。

政府にお願いしたいのは、今後もより一層、施設運営者に対する審査や監督に力を入れること。福祉施設をホームレスたちが入りたくなるような温かい家にすることが望ましいと思う。

刑務所を出た人を支援する施設もある

施設関連の仕事をしている知人の話によると、刑期が満了して釈放された人が何人か、適切な仕事が見つからなかったために荒川河川敷一帯に足を踏み入れ、ホームレスの生活を始めたという。

彼らは長い刑務所生活を経てやっと自由を取り戻したが、家族との関係が切れている人もおり、頼れる人がおらず、孤独で、受け入れられる場所を見つけるのは難しい。

政府も彼らの状況をよく知っている。そのため、彼らを自立させて、できるだけ早く社会に溶け込むよう促すため、更生保護・自立支援のための施設に住まわせ、仕事(建設現場の力仕事など)を探すのにも協力する。

つまり、食事や住まいを提供し、仕事探しも支援しているわけだ。私からすれば、出所後にこのような待遇を受けられるのはよいことに思える。

しかし、物事はそんなに簡単ではない。長年鉄格子に閉じ込められてきた人にとって、自由の獲得はいかに難しいか。もし彼らが政府の統制下で集団生活をするならば、刑務所での生活と何が違うのだろうか。

だから、刑務所を出た人たちの中に、政府が提供する施設を放棄して放浪の道に進む人がいるのかもしれない。一方、刑務満了者は生活保護を申請することもできる。

集団生活ではない「独身アパート」もあるが...

生活保護を申請し、福祉施設に入ったホームレスは、そこで何カ月か生活した後、アパートに移れる場合がある(あるいは支援団体の助けで、アパートに入居する場合もある)。ここでは集団生活ではなく、「独身アパート」などと呼ばれている。

「独身アパート」に入居できれば、施設より行動も比較的自由だ。定期的に支援者が訪れ、病気になった場合はすぐに治療を受けることもできる。

しかし、この待遇は大抵、年配者にしか与えられていないようだ。若いホームレスたちは、真面目に働いて自分で生計を立てなければならない。政府は基本的に、労働力があっても働かない人には支援をしない。

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