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「親子2代50年以上の支配の終焉」国際テロ情勢の観点からアサド政権崩壊を考える

ニューズウィーク日本版 / 2024年12月29日 8時9分

ジャウラニが如何にして新生シリアをマネージメントするのか

しかし、いくつかの懸念もある。シリアがアサド政権という圧政から解放されたことは幸いなことではあるが、ジャウラニが如何にして新生シリアをマネージメントしていこうとしているのか、全くの不透明だ。

今後、新たなシリアの政権が国内を上手く束ねていけなければ、宗派間、民族間の対立が再び激しくなることは十分に想定され、依然としてシリア東部などで活動するイスラム国が組織の再生を図り、テロ活動を活発化させる恐れがある。

シリア国内にはイスラム国の戦闘員たちが収容される施設があり、イスラム国がそういいった施設を戦略的に攻撃することも考えられる。また、アサド政権の崩壊について、シリアに拠点を置くトルキスタン・イスラム党(TIP)はそれを強く歓迎し、中国・新疆ウイグルの解放のため中国への攻撃を示唆する動画などを発信しており、反中ジハードの動向も懸念されよう。

そして何より、ジャウラニが何を考えているかである。ここで示したように、ジャウラニがアサド政権打倒というローカルな目標に専念し、アルカイダやイスラム国と距離を置いてきたのは事実である。

しかし、厳格なイスラム法による国家統治を目指す姿勢は排除しておらず、アフガニスタンのタリバンのような状況が到来するシナリオも考えられる。

我々はジハード組織というと、アルカイダかイスラム国をイメージするが、両組織にとってジハード主義は必須である一方、ジハード組織は何もアルカイダかイスラム国かというわけではない。

当然だが、アルカイダでもなくイスラム国でもない新たな名前を司る組織が台頭する可能性は十分にあり、新世代のジハード組織の誕生もあり得る。

アルカイダやイスラム国が大規模なテロを実行し、国際安全保障上の脅威になった最大の原因は、安心できる生活場所を与えたことであり、9.11時のアフガニスタン、2014年から2016年あたりのイラク、シリアはそれを物語る。我々は、シリアを再びテロの温床にしないためにも、今後のジャウラニの動向を注視する必要がある。
 




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