【随時更新】韓国ユン大統領を拘束 高位公職者犯罪捜査庁での調査に陳述拒否
ニューズウィーク日本版 / 2025年1月15日 15時15分
物理的衝突を予想、法的根拠も検討
公捜庁と警察、国防部調査本部で構成された捜査本部は、今回の第2次逮捕令状の執行だけは必ず成功させるという覚悟だという。大統領警護庁が再び車両を使って進入路を塞ぎ、警護人員で「人間の壁」を作って令状執行を妨害する場合には、物理的衝突が避けられないものと見られる。
今回の執行に当たって公捜庁側は万が一物理的衝突が発生した場合に備えて法令面での検討も行ったという。物理的衝突過程で警護員に対する逮捕や人命·財産被害、火器使用などすべての場合に備えて総合的な法的根拠を検討したようだ。
また公捜庁と警察との協議も進められた。50人前後の公捜庁の人員では警護庁の阻止を突破する方法がないため、多くの警察官が2次逮捕令状の執行に投入され、警察官と警護員の衝突が予想されるため、執行作戦を後押しする公捜庁による法的根拠が必須となった形だ。
警護庁職員「大多数の職員は、命令だからとしぶしぶ従っている」
一方、警護庁側は1月3日と同じように捜査当局を阻むことが出来るかどうかは不透明な様子だ。3日の執行阻止に関してパク·ジョンジュン(朴鍾俊)警護庁長が1月10日、公務執行妨害容疑で警察の取り調べに臨む直前に突然辞意を表明し、警護庁はキム·ソンフン(金成勲)警護庁職務代行が指揮をとる形になり、そのキム警護庁職務代行自身も1月3日の逮捕執行への妨害容疑で逮捕状が出されたからだ。
また、警護庁職員が動揺しているという報道もある。匿名のある警護庁職員がMBCラジオに手紙を寄せ、「現在勤務中だ。寒くて、不安だ。上層部だけが元気で、一般職員は動揺が大きい」と打ち明けた。
この職員は繰り返し「大多数の職員は命令なのでしぶしぶここにいる。ただ門を開けてあげることができないから立っている程度だ。上層部はどうせ捜査側に突破されたら終わりだからと暴れているようで、警護庁の特性上、大多数の職員はやむを得ず甘受している」と内情を暴露。また、「一緒にしなければ卑怯者と烙印を押される恐れがあり、ただこの状況が早く終了することを願っている」として、「この間、名誉と自負心で守ってきた警護庁をこの(ユン政権の)2年間で全て台無しにしてしまった。この状況が整理されれば抜本的に改革が行われ、警護庁が再建されることを願うだけだ」と付け加えたという。
◇ ◇ ◇
ユン大統領は12月3日に突然戒厳令を宣言し、内乱首謀および職権乱用権利行使の疑惑を受けている。公捜庁は、ユン大統領が3度も出頭要請に応じなかったことをうけて、12月30日、ソウル西部地裁に逮捕令状を請求、翌31日午前、令状を取った。そのうえで1月3日、ユン大統領に対する1度目の逮捕令状執行に乗り出したが、警護庁の強い阻止により5時間30分で執行を中断した。ユン大統領側は逮捕令状が「不法無効」だと主張している。
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