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「2国家解決」で歴史に名を残したい、2人の思惑が合致するとき...サウジの「外交Xデー」はあるのか?

ニューズウィーク日本版 / 2025年1月16日 15時52分

一方、イランはBRICSに加盟済みで、やはり中国とロシアが主導する上海協力機構(SCO)の正式メンバーでもある。

それでもシーア派の革命政権であるイラン・イスラム共和国と愛国主義的なスンニ派のサウジアラビア王国との間には根深い確執があり、両者は今も中東での影響力を競い合っている。

サウジ側にはイランの核開発計画加速に対する懸念もある(当のイランは大量破壊兵器の獲得を目指さないと断言している)。

イランのウラン濃縮や遠心分離機製造などを規制する包括的共同作業計画(イラン核合意)は、第1次トランプ政権が18年5月に離脱を表明し、崩壊の危機にある。

サウジも当初は合意に懐疑的だったが、最近の両国関係の変化を受けて、こうした合意の利点を認識するようになった。

トランプがイラン核合意への姿勢を変える可能性はあると、シュダディは言う。

「中東ではサウジとイランの関係が落ち着きつつある。イランは経済的圧力とイスラエルの攻撃を受けて、かつてない柔軟性を見せ、新たな核合意に関する対話が可能になっている。サウジは今後の交渉で重要な役割を果たすだろう」

イデオロギー的な共通点も

サウジの地政学アナリストでコンサルタントグループ「サウジ・エリート」の代表を務めるモハメド・アルハメドは、「最近のサウジとイランの外交的雪解けは、わが国の外交政策が大きく転換したことを意味する」と本誌に語った。

「イランとの開かれた対話ルートを維持することは、わが国が地域の緊張を管理し、自国の利益にならない紛争に巻き込まれることを避けるのに役立つ。ただし、警戒を怠ってはならない」

「イスラエルとイランとの強硬姿勢は中東情勢を不安定にし、サウジの安全保障を脅かしかねない。サウジは国益を優先して、緊張拡大を抑制し対立ではなく対話を促す均衡の取れたアプローチを提唱すべきだ」

トランプは大統領選で7つの激戦州を全て制してカマラ・ハリス副大統領に圧勝したが、経済・外交の多様化を進める産油国サウジはそれ以上に手ごわい相手かもしれない。

「サウジにはさまざまな選択肢があり、アメリカの優先課題に関係なく国益を追求するだろうと認識することが重要だ。核心的利益が一致しなければアメリカは他の国や社会に急進的な政策を押し付けられないことをサウジは承知している」

それでもイデオロギー的には共通点が多い。トランプの孤立主義的な外交戦略「アメリカ・ファースト」は、サウジの次期国王の改革・愛国主義路線と非常に多くの点で呼応する。

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