トランプ氏初日、相次ぐ大統領令...「パリ協定脱退」から「旗の掲揚」まで
ニューズウィーク日本版 / 2025年1月21日 18時10分
アンドリュー・スタントン ソナム・シェス
<初日から積極的に動いたトランプ大統領は、パリ協定脱退や連邦政府の新規雇用凍結を含む一連の大統領令に署名し、選挙公約の実現に向けて動き出した>
ドナルド・トランプ米大統領は1月20日、ホワイトハウスに復帰するやいなや、保守的な政策を包括的に推進するという選挙公約を果たすため、一連の大統領令に署名した。画期的なパリ協定からの脱退を表明し、バイデン政権時代の大統領令78件を破棄したほか、連邦政府の雇用凍結を実施した。
さらに、移民関連の大統領令を複数署名。多様性、公平性、包摂性(DEI)に関する取り組みを制限する大統領令を出し、カナダやメキシコへの関税を発表した。
午後遅く、ワシントンD.C.のキャピタル・ワン・アリーナで支持者に向けた演説の際、トランプ氏は下記のような大統領令に署名した。
・バイデン政権時代の大統領令など78件の破棄
・「完全な政府の完全掌握が確立されるまで」官僚が新たな規制を出すことを禁止
・軍や一部の例外を除きすべての連邦政府の新規雇用を凍結
・連邦職員に対し完全な「対面勤務」への復帰を義務付け
・米国市民の「生活費危機」に対応するための指示
・パリ協定からの脱退
・「言論の自由の回復と政府による言論検閲の防止」を命じる連邦政府への指示
・「前政権の政治的敵対者に対する政府の武器化を終わらせる」ことを目的とした指示
その後、トランプ大統領はホワイトハウスへ向かい、2021年1月6日の議会襲撃事件で有罪判決を受けた1500人以上に対する恩赦を最初の行動のひとつとして実施した。
多くの選挙公約は大統領令で実行可能だが、他の政策は議会の支持を必要とする見込みだ。共和党は下院と上院で多数派を占めているものの、下院ではわずかな議席差しかなく、上院ではフィリバスター(議事妨害)の影響を受けるため、トランプ大統領が自身の政策の一部を実現するには、少なくとも一部の民主党議員との協力が必要となる。
移民政策
トランプ大統領は出生地主義に基づく市民権の廃止を目指す大統領令に署名した。この方針は、出生地主義がアメリカ憲法に明記されていることから、法廷での激しい議論を呼ぶ可能性が高いと見られている。
さらに、メキシコの麻薬カルテルやいくつかの組織を外国のテロ組織に指定する大統領令に署名。南部国境では国家非常事態を宣言し、議会の承認なしに連邦予算を使って米墨国境に壁を建設できるようにする措置を取った。
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