1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

ロシアが本気になれば1000発以上の核弾頭が降ってくる...米国版「アイアンドーム構想」の実像とは

ニューズウィーク日本版 / 2025年1月22日 19時4分

なお国防総省は2028年をめどに、現在のGBI44基に加えて次世代迎撃ミサイル(NGI)20基を配備する予定だ。

迎撃できなかったミサイルには、海軍のイージス艦が対応することになる。スーファーによれば、イージス艦で国土の3分の1を守れる。ミサイル防衛局と海軍は20年11月、模擬弾頭のICBMに対する弾道ミサイル防衛用能力向上型迎撃ミサイル(SM3ブロック2A)の発射実験をしている。

グレン・バンハーク退役空軍大将は、米国北方軍と(アメリカとカナダの)北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)の司令官だった23年3月当時の議会証言で、「北朝鮮による限定的な弾道ミサイルの脅威から国土を防衛する現有能力には自信がある」としながらも将来の対応には懸念を示し、NGIの実戦配備が「決定的に重要」だと指摘していた。

アメリカ中央軍の運用するTHAADの発射台 CAPT. DUY NGUYENーDOD

まずはSM3ブロック2Aを増やすべきだと、スーファーの報告書は言う。その上でGBIも増やし、長期的には宇宙空間での迎撃を含む技術に投資し、レーザーなどを使う指向性エネルギー兵器も検討する。

イスラエルのアイアンドームは、同国の企業ラファエル・アドバンスド・ディフェンス・システムズが構築したもので、短距離ロケット弾による攻撃を想定している。

だが、そんな攻撃はアメリカにとって主たる脅威ではない。そもそも国土の面積が桁違いだし、ミサイルがどこから飛んでくるかも分からない。

トランプは昨年12月にアリゾナ州フェニックスで開いた集会で「偉大なミサイル防衛となるアイアンドーム建設を始めるよう軍に指示する。

全て米国内で、その多くはここアリゾナで製造する」と述べた。新政権の安全保障担当大統領補佐官に起用されたフロリダ州選出の共和党下院議員マイク・ウォルツも、同時期に「アメリカにもアイアンドームが必要だ」と述べている。

ただしスーファーは、包括的な防衛構想としての「米国版アイアンドーム」はもっと多層的なものにすべきだと考える。

スーファーによると、想定すべきシナリオは複数ある。まずは北朝鮮が故意または偶発的に少数のミサイルを発射する可能性だが、核兵器も通常兵器も大量に保有するロシアや中国の猛攻に備える必要もある。

1期目のトランプ政権で核・ミサイル防衛を担当したロバート・スーファー MARINE CORPS SGT. DYLAN C. OVERBAYーDOD

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください