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ロシアが本気になれば1000発以上の核弾頭が降ってくる...米国版「アイアンドーム構想」の実像とは

ニューズウィーク日本版 / 2025年1月22日 19時4分

専門家によると、北朝鮮の脅威とロシアや中国の脅威は異質なものだ。北朝鮮は敵意をむき出しにしてくるが、保有弾頭数に限りがある。

しかし中国かロシア、または両国からの攻撃となれば何千発もの弾道・巡航ミサイル、電磁兵器が使われ、妨害電波も飛んでくる。

米シンクタンク「スティムソン・センター」の客員研究員で、かつてNATOの軍備管理・軍縮・大量破壊兵器不拡散センターを率いたウィリアム・アルバークに言わせれば「とんでもない規模」になる。

現実的なのは限定攻撃だが

だが今回の報告書によると、中国やロシアはアメリカを威嚇するために限定的な攻撃を選ぶ可能性もある。

その目的は他国での紛争から手を引かせたり、集団防衛の約束を結んだ同盟国への支援を思いとどまらせることに限定されており、アメリカを過度に挑発して核兵器を使わせたり、大規模な報復攻撃を招いたりする事態は望んでいないはずだ。

ただし中国やロシアは、核兵器による報復攻撃を阻止するためにアメリカの核戦力や司令部を標的にする可能性もある。そうした事態に備え、主要基地を守る迎撃システムの用意が必要だと、スーファーの報告書にはある。

ミサイル防衛は「自国民の絶対的な保護」に注力するより、どんな攻撃を仕掛けても無駄だとロシアや中国に思わせることに重点を置くべきだとも書いてある。

今回の報告書によれば、ひたすらアメリカ本土を守るためにあるGBIは、SM3に加えてTHAAD(高高度防衛ミサイル)などの関連技術の全てと統合されるべきだ。

現状でアメリカはSM3を毎年12基製造しているが、それを2倍にする必要があるとスーファーは言う。

THAADは24年4月と10月にイスラエルを攻撃したイランの弾道ミサイルの撃墜に役立った。

アメリカは既にNGIを開発しており、開発担当に選ばれた防衛大手のロッキード・マーティンは、「アメリカ本土のミサイル防衛に革命を起こす」ミサイルだとしている。

同社によれば、このミサイルはイランや北朝鮮によるICBM攻撃からアメリカ本土全体を守るために設計されたものだ。

イージス艦やTHAADは降下してくるICBMを標的とするが、GBIは大気圏外を航行中のICBMに襲いかかる。ICBMを早い段階で撃ち落とすことになり、ミサイル防衛能力は格段に高まる。

SM3やGBIを使用する段階より前にICBMを迎撃する方法もいくつかある。発射の初期段階でミサイルを撃ち落とす「ブースト段階ミサイル防衛」を検討すべきだ、とスーファーは本誌に語った。

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