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仕事と私生活を「別人格」で生きる...SFドラマ『セヴェランス』とは? 多くの批評家が「年間ベスト作品」に

ニューズウィーク日本版 / 2025年1月31日 14時52分

ルーモン社に人生をささげてきたコベル(アークエット)は、解雇を機に壊れ始める APPLE TV+

シャノン・パワー(エンターテインメント担当)
<終業後、エレベーターのドアが閉まるとき従業員の記憶は「リセット」される──脳に埋め込まれたチップでコントロールされる人々を描くSFスリラーの魅力に迫る(インタビュー)>

人気のドラマシリーズ『セヴェランス(Severance)』(アップルTVプラスで配信中)に出演しているパトリシア・アークエット(Patricia Arquette)は、このSFスリラーが現代の現実を映し出していると考えている。そう思えない人も、1月17日に配信が始まったシーズン2を見たら納得するかもしれない。

【予告編】「完璧なワークライフバランス」?を描くSFスリラー『セヴェランス』

簡単に言うと、これはアメリカのどこにでもあるような街の一見普通のオフィスビルで働く、一見普通のオフィスワーカーの物語だ。彼らは出社して警備員に挨拶し、エレベーターで階下に降りて、低いパーティションで区切られたデスクで8時間、仕事をする。終業後は再びエレベーターに乗って、警備員に挨拶し、殺風景な駐車場に並んだ平凡な車に乗って帰宅する。

ただし、エレベーターのドアが閉まるとき、彼らの記憶はリセットされる。ルーモン・インダストリーズに入社した際に、脳にチップを埋め込んで記憶を分離(セヴェランス)する医療的処置を受けているのだ。

会社での人格(インニー)は、会社の外の人格(アウティー)について何も知らない。オフィスに入ると仕事の記憶しかなく、オフィスを出たら私生活の記憶しかない。別の人格の自分がいて別の生活を送っていることは認識しているが、自分が本当は何者なのかは分からない。

『ズーランダー(Zoolander)』などで知られる俳優ベン・スティラー(Ben Stiller)が制作総指揮に就き、一部のエピソードでは監督も務めた『セヴェランス』は、2022年にシーズン1が配信されると多くの批評家から年間のベスト作品に選ばれた。

制作総指揮として裏方に徹するスティラー(左) ALBERTO E. RODRIGUEZ/GETTY IMAGES

「本当の自分」はどこに

現実の人生も『セヴェランス』の奇妙さとそれほど懸け離れてはいないと、アークエットは感じている。「人は皆、いろいろな顔を持っている。家があって家族がいても、不倫をして恋に落ち、ティーンエージャーのようになる人もいる。一貫性なんてない」

「どんな場面であれ、ありのままの自分でいる」ことはできないと、彼女は続ける。例えば、オンラインゲームの世界では現実の自分と全く異なるアバターが活動する。

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