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「やるなら徹底的に...」DEI削減企業を「正しくボイコット」する方法とは?

ニューズウィーク日本版 / 2025年2月3日 10時20分

翌年、ターゲットは「過去の販売実績に基づき、一部店舗とオンラインでのみプライド商品の取り扱いを続ける」と発表した。

本誌の取材に対し、エイブリー氏は「消費を控えることで抗議の意思を示さない限り、ターゲットはDEI方針の廃止が正しかったと考え続けるだろう」と指摘。「企業は、財務的な利益にならなければ、どんな取り組みやパートナーシップでも簡単に手放す」とも述べた。

「ボイコットするなら、自分の倫理観や価値観に照らし合わせて考えるべき。資本主義の中で完全に倫理的な消費や経営を貫くのは難しいけれど、それでも何が正しいかを見極めることが大切」と語った。

また、「DEIが本当に効果があったのかという議論もあるし、差別がなくならなかったという意見ももっとも。でも、言葉の持つ力は、時に意図以上に重要だということは、誰もが理解しているはず」と締めくくった。

感情的なボイコットは一時的な波に過ぎない

本誌は、インクルージョン評価プラットフォーム「Aleria」の創設者兼チーフサイエンティストであるパオロ・ガウディアーノ氏に取材した。同氏は、「このような『感情的な』ボイコットが、大きな影響を及ぼすという証拠はほとんどない」と指摘する。

「特に、SNSがネガティブな反応を増幅させる今、多くの人が不満を訴えるためにネットに投稿するが、大規模な社会的動乱でもない限り、企業が本質的な対応をする可能性は低い」

また、現在DEIが極端に政治問題化しており、「一部の企業は顧客からの圧力に屈してしまっているように見える」とも警鐘を鳴らした。しかし、実際には「そもそも経営層がDEIに本気で取り組んでいなかった企業にとって、この状況はコミットメントを撤回する口実になった可能性が高い」と分析した。

ボイコットが「バイコット」を生むことも

カリフォルニア州立大学サンマルコス校のマーケティング教授であるヴァシリス・ダラカス氏は、2021年に実施された複数のブランドに対するボイコットの影響を調査した研究を引用し、「ブランドの支持者がボイコットの効果を弱める可能性があり、ボイコットの脅しが必ずしも実際のボイコットにはつながらない」と述べた。

「私たちの研究でも明らかになったように、ボイコットを呼びかける動機は様々だ。本当に企業の行動を変えたいと考えている人もいれば、単に感情的な理由で賛成・反対を主張したいだけの人もいる」

また、ボイコットの呼びかけは「両陣営を活性化させる」傾向があると指摘した。つまり、企業に反対する人々がボイコットを呼びかける一方で、企業を支持する人々は「賛同の投稿を行い、むしろ購買を増やすと宣言する」動きが生まれる。この現象を「バイコット(buycott)」と呼ぶ。

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