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AIやEVが輝く一方で、バブルや不況の影が広がる......ピークアウトする中国経済の真実

ニューズウィーク日本版 / 2025年2月4日 15時45分

「未来の車」開発で、アメリカではテスラ1社が独走状態であるのに対し、中国では10社を超える企業が死闘を繰り広げ、競争の中で技術力を高めている。自動運転のレベルで中国勢がテスラに打ち勝ったとまでは言えないが、EVのコストダウンについては圧倒している。中国では既にガソリン車よりも安いとされるレベルにまで到達した。

圧倒的な製造力で過去最高の貿易黒字

WTO(世界貿易機関)加盟前後である1990年代末から21世紀初頭にかけて、中国からの労働集約的な工業製品の輸入が急増し、米国内における雇用を減少させたことを「チャイナショック」と言う。マサチューセッツ工科大学のデビッド・オーター教授らの研究では、米国内で200万人もの失業をもたらしたと推計されている。

その直撃を受けたミシガン州やペンシルベニア州はラストベルト(赤さび地帯)と呼ばれ、格差拡大が政治的分断につながり、最終的にはドナルド・トランプ大統領誕生の伏線となった。

当時、中国輸出の主力製品は鉄鋼やガラスなどの原材料、衣料品、電化製品(の組み立て)など付加価値が低い製品が中心だった。競合製品を作っていた先進国の製造業は苦しんだ一方で、工業機械や中核部品、サービスなどを中国に輸出する企業にとっては追い風だった。中国では「8億枚のシャツとボーイング1機の交換」とも言われた。

だが、その状況は既に大きく変わった。前述したとおり、AIやEVといった高付加価値のハイテク産業までも中国は独自にカバーできるようになった。より多くの付加価値が中国に落ちるようになったわけだ。

昨年、中国の貿易黒字は9921億ドルと過去最高を更新した。この数年、地政学的な問題から中国からの輸入を避ける動きも伝えられていたが、圧倒的な製造力でねじ伏せた。

出所:国家統計局

中国政府系不動産大手が開発した住宅の建築が途中で止まった(遼寧省) ANDREA VERDELLIーBLOOMBERG/GETTY IMAGES

「合理的バブル」の終焉

ここまで中国の明るい一面を見てきたが、その輝きに負けぬほどに闇は深い。

経済成長率を最終消費、固定資産形成、純輸出と要素ごとに見ていくと消費減速は明らかだ。2023年は5.4%成長のうち消費が4.6ポイント、24年は5%のうち2.2ポイントと大きく減少している。この穴を埋めたのがマイナス0.6ポイントから1.5ポイントと改善した純輸出だった。過去20年を振り返っても、ここまで経済成長が輸出に依存したことはなかった。

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