AIやEVが輝く一方で、バブルや不況の影が広がる......ピークアウトする中国経済の真実
ニューズウィーク日本版 / 2025年2月4日 15時45分
「代替スタバ」のラッキンコーヒーが中国では人気(重慶) CHENG XIN/GETTY IMAGES
天安門事件と新型コロナ期に次ぐ消費減速
現在、不動産市場の低迷は消費にまで拡大している。24年の社会消費品小売総額(小売外食売上高)は3.5%増、1978年の統計開始以来ワースト4位と低迷した。ワースト1位は新型コロナウイルス流行初期の20年、2位はオミクロン株流行によるロックダウンが相次いだ22年、3位が天安門事件の翌年の90年。天安門事件と新型コロナ期を除けば過去最大の消費減速となった。
不動産価格が下落しても売却するまで損失が確定することはない。だが、資産価値の下落が消費マインドに影響する「所得効果」の影響は甚大だ。消費ダウングレードと呼ばれる節約志向の広がりによって、今までよりもワンランク安いものに乗り換えるという動きがある。米スターバックスコーヒーは中国市場で苦戦を強いられているが、同じコーヒーを飲むにしても安い中国企業のコーヒーを買おうといった消費者の嗜好の変化が見られる。
節約志向が高まるなか、どうにかして消費意欲を引き出そうと「9.9元ブーム」が起きた。コーヒー1杯9.9元(約210円)の喫茶店、料理が9.9元均一のレストラン、商品全て9.9元均一の雑貨店......などなど。日本の「100円ショップ」を彷彿とさせる動きだ。
不動産急落で地方財政逼迫
民間の需要が不足しているときには政府が需要を創出するべきというのが経済学の教科書的な対応だが、中国ではこれがうまくいっていない。というのも、そうした財政出動の主な担い手は地方政府だが、コロナ対策で財政は逼迫している。中国・東呉証券の試算によると、PCR検査の費用だけでも年1兆4500億元(約30兆円)が拠出された。
一方で財政収入は厳しい。中国の地方政府は土地使用権の払い下げ金を主要な収入源としていたが、不動産市場が急落するなか、この収入が大きく減少している。21年のピークからは44%の減少だ。
減った分の収入を補塡しようと、10年以上前の税金未納に巨額の追徴課税を徴収するといった不正行為が多発している。90年代の中国では財源確保のための罰金徴収が横行した。土地払い下げ収入が確保されるようになってからは鳴りを潜めていたが、財政難からかつての悪行が復活してしまった。
◇ ◇ ◇
光の面だけを強調すれば中国の未来は明るく見え、影の部分だけを見れば悲観論となる。だが、いずれか片方だけ見るのは誤りだ。
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