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【徹底解説】米国際開発庁(USAID)とは? 設立背景から削減議論まで、7つの疑問に回答

ニューズウィーク日本版 / 2025年2月12日 15時20分

議会は「対外援助法(Foreign Assistance Act)」を可決し、1961年にUSAIDが正式に発足した。ソ連が1991年に崩壊した後も、USAIDはロシアや中国の影響力に対抗する役割を担い続けている。特に、中国の「一帯一路」構想はUSAIDと競合する対外援助プログラムと見なされることが多い。

USAIDの批判者は、そのプログラムが無駄遣いであり、リベラルな政策を推進するものだと指摘する。一方、支持者は、USAIDの活動が世界の安定を促し、米国の利益にもつながると主張している。

USAIDの予算の使われ方は?

超党派の議会調査局(Congressional Research Service)が先月発表した報告書によると、2023会計年度における米国の対外援助予算は約400億ドルだった。米国は世界最大の人道支援供給国であるものの、対外援助は連邦予算全体の1%未満にすぎない。2024年時点で、USAIDの予算は総連邦支出のわずか0.3%を占めており、1980年の0.5%から減少している。この割合は過去10年間ほぼ安定している。

USAIDの分野別支出

・168億ドル:ガバナンス(統治支援)
・105億ドル:人道支援
・70億ドル:保健医療
・35億ドル:行政費用
・16億ドル:その他のプログラム
・13億ドル:農業
・11億ドル:教育
・10億ドル:インフラ整備
・7億ドル:経済成長支援

地域別の資金配分

USAIDの資金の大部分は、ウクライナの戦争支援と復興支援を中心としたヨーロッパ・ユーラシア地域に向けられた。

・172億ドル:ヨーロッパ・ユーラシア(主にウクライナ)
・121億ドル:サハラ以南アフリカ
・55億ドル:複数地域にまたがる支援
・39億ドル:中東・北アフリカ
・19億ドル:南アジア・中央アジア
・18億ドル:西半球(ラテンアメリカなど)
・11億ドル:東アジア・オセアニア

USAIDの主要な援助対象国

USAIDは2023会計年度に約130カ国へ支援を提供した。その中で最も多くの援助を受けた上位10カ国は以下の通り。

・ウクライナ
・エチオピア
ヨルダン
・コンゴ民主共和国
・ソマリア
・イエメン
・アフガニスタン
・ナイジェリア
・南スーダン
・シリア

世界銀行が指定する低所得・低中所得国77カ国のうち70カ国が2023年度の支援を受けており、USAIDの貧困削減への重点が反映されている。

USAID予算削減の影響は?

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