【徹底解説】米国際開発庁(USAID)とは? 設立背景から削減議論まで、7つの疑問に回答
ニューズウィーク日本版 / 2025年2月12日 15時20分
最近の予算案では、USAIDは数十億ドル規模の削減に直面しており、対外援助の提供能力が大幅に低下する可能性がある。トランプ氏とマスク氏は、USAIDの廃止を主張し続けている。
最も影響を受けるのはサハラ以南アフリカ地域とみられており、昨年だけで65億ドル以上の人道支援を受けていた。この影響で、1980年代のエイズ危機を抑えた米国の有名なプログラムが資金不足に陥り、HIV治療を求めるアフリカの患者たちがクリニックの閉鎖に直面している。
また、USAIDはジョージアやアルメニアなど、ロシアの影響が及ぶ国々でガバナンスやメディア支援プロジェクトを展開しているが、これらも削減の対象となる可能性が高い。
ラテンアメリカではすでに影響が出ている。
・メキシコ南部の移民シェルターでは医師が不足
・ベネズエラから逃れたLGBTQ+の若者を支援するメンタルヘルスプログラムが廃止
・コロンビア、コスタリカ、エクアドル、グアテマラの「安全な移動オフィス(Safe Mobility Offices)」が閉鎖され、移民の合法的な米国入国手続きが困難に
誤解を招く情報は?
ホワイトハウス報道官のカロライン・リーヴィット氏は、USAIDの廃止を正当化するために以下のような支出を非難した。
・150万ドル:セルビアの職場でDEI(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン)を推進するための助成金
・7万ドル:アイルランドでのDEIミュージカル制作
・4万7千ドル:コロンビアでのトランスジェンダー・オペラ公演
・3万2千ドル:ペルーでのトランスジェンダーをテーマにしたコミック本の制作
これらの主張はソーシャルメディアで拡散されたが、実際にUSAIDが資金を提供したのは、セルビアの組織「Grupa Izadji」への助成金のみであり、残りは国務省の「国際広報・広報担当次官室(Office of the Under Secretary for Public Diplomacy and Public Affairs)」によるものであった。
なぜUSAIDの支出は「無駄遣い」と見なされるのか?
米国では、対外援助に対する意見が長年にわたり分かれている。
USAIDの使命は世界の安定と経済発展の促進にあるが、批判者はその支出が非効率で管理がずさん、あるいは不要だと主張している。
2023年3月に実施されたAP-NORCの世論調査によると、米国成人の約6割が「政府は対外援助に過剰な支出をしている」と考えていることが明らかになった。
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