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アメリカ軍がタリバンと和平合意~中東の問題を拡大しかねない

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年3月2日 17時40分

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 29日、カタールの首都ドーハでアフガニスタン和平合意に署名する米国のハリルザド・アフガン和平担当特別代表(左)と、反政府武装勢力タリバンのバラダル師(共同)

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月2日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。アメリカ軍とタリバンの和平合意について解説した。

29日、カタールの首都ドーハでアフガニスタン和平合意に署名する米国のハリルザド・アフガン和平担当特別代表(左)と、反政府武装勢力タリバンのバラダル師(共同)=2020年2月29日 写真提供:共同通信社

アメリカ軍、タリバンと和平合意

2001年の同時多発テロ事件以降続くアフガニスタンでの軍事作戦をめぐって、アメリカ政府と反政府武装勢力タリバンは、カタールの首都ドーハで、アメリカ軍の完全撤退を含む初めての和平合意に署名した。アメリカ軍が14ヵ月以内に駐留の軍隊を撤退させ、一方でタリバンはアフガン政府との和解協議を開始させることが柱となっている。

飯田)これを受け、アフガニスタン政府とタリバンは、3月上旬に直接対話を始める見通しであるということです。これが上手く行けば、歴史的なものになりますよね。

須田)駐留してから約19年ですからね。撤退させたということになると、大統領選挙に向けてトランプ大統領の大きなポイントになると思います。選挙対策という側面が非常に色濃い。もともとアフガニスタンからの撤退は、トランプ大統領の公約に盛り込まれていて、その公約を実現したということです。意外に思われるかもしれませんが、トランプ大統領は誠実に公約を実現しています。

14日、ドイツ・ミュンヘンでの安全保障会議に出席し握手するポンペオ米国務長官(左)とアフガニスタンのガニ大統領(ロイター=共同)=2020年2月19日 写真提供:共同通信社

直接対話が実現する前での撤退は拙速ではないか

須田)その一方で、場合によっては拙速という言葉もあてはまるのかも知れません。いまのアフガニスタン政府とタリバンは、犬猿の仲をはるかに超えて骨肉の争いをしていて、直接対話は実現していません。対話が実現していないなかでの撤退決定ということになります。やはり政府とタリバンの融和が、実績として出て来た段階で撤退だと決めることが、手続き上は必要なのではないかと思います。

飯田)いまの段階だとアフガン政府は、アメリカ軍の後ろ盾でようやく対峙している部分がある。これがなくなってしまったら、タリバンが攻めて来たときに倒れてしまう可能性もあるわけです。

須田)そうですね。あるいは国内が分断されることにもなりかねない状況になりますから、アメリカとしては駐留軍の撤退はいいことではありますが、少し無責任な部分もあるのではないかと思います。

飯田)もともとアメリカ軍駐留の根拠となっていたのが9・11で、ウサマ・ビンラーディンを匿っていたということもあるし、そもそも当時のアフガニスタン全体がテロリスト養成所のようになっていたわけですからね。

実際にはアメリカとテロ組織との戦闘は終わっていない

須田)9・11以降、アメリカは正規軍と正規軍のぶつかり合いではなく、テロ集団との闘いに大きくシフトしましたが、そのきっかけになっているのは、やはりアフガニスタンであるはずなのです。そうすると全体的な戦略のなかで、今回はどのように位置づけられるのか。アメリカの国内世論は、テロリストとの戦争に対して大きく疲弊し、厭戦気分が広がっています。その国民感情に訴えかける、「テロ組織との戦争は終わったのだ」という位置づけを、トランプ大統領としてはしたいということがあるのだけれども、実際にはアメリカとテロ組織の戦闘は終わったわけではありません。ですから、実態とトランプ大統領の言っていることが乖離するようなことにもなりかねないと思います。

飯田)アメリカ本土が狙われたという衝撃、そして今回の撤退で、またここがテロリスト養成所のようになってしまったら、元の木阿弥なのではないかと思います。

須田)アフガニスタンと中東の問題は、バランスなのです。バランスを取って進めて行かなければならない。強引に収束に向かわせると、これも中東の問題をさらに拡大しかねない状況になるのだと思います。

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