民主党が割れてトランプ大統領が本選で「勝たずして勝つ」可能性
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年3月15日 21時35分
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月13日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。アメリカ大統領選について解説した。
アメリカ大統領選~サンダース氏は選挙戦を継続
11月のアメリカ大統領選に向けた民主党の候補者指名争いで、劣勢が明確になって来た急進左派のサンダース上院議員は11日、「トランプ大統領の打倒に全力を尽くす」と述べ、選挙戦を続ける意向を表明した。サンダース氏としては、失言が多く「討論下手」とも言われるバイデン氏との初の一騎討ちとなる15日の討論会で、流れを自身に引き寄せたい考えと見られている。
宮家)「急進左派のサンダース氏」と言うけれど、要は普通の社会主義者ですから、たいしたことを言っているわけではないのです。日本で言えば、ひと昔前の革新系政治家と同じです。でも、サンダースさんの支持層は若者が多く、バイデンさんはお年寄りが多いので、土俵は少し違います。サンダースさんは今劣勢には違いないけれども、アメリカの民主党予備選の獲得代議員数は比例で分配しますから、1位になった人がその州の代議員を全部取るわけではありません。いまは861対710でしょう。僅差ではないけれど、バイデンさんの圧勝でもありません。サンダースさんは途中で「参りました、これから協力します」というのが普通なのだけれども、この人は普通ではない。最後までバイデン支持は表明しないと思います。
飯田)党大会まで。
アメリカの大統領選は「負けなければよい」~民主党が割れる可能性
宮家)党大会でも下手をすると協力しない、支持しないということにもなりかねない。4年前もそうでした。この人は原理主義者だから、バイデンさんと一緒になるわけがありません。この人が頑張っても大統領選本選挙で票は取れないけれど、党を割る要素になる可能性はあるわけです。いつも言うことですが、アメリカの大統領選は勝つ必要はない。相手の党が割れてしまえば、割れたらもう負けですから。今の民主党内は嫌な予感がする動きになっていると思います。普通ならトランプさんがここで高笑いをするのだけれども、トランプさんはトランプさんで、最近のコロナウイルスの件でダメージが大きく出ると思います。株価も下がっていますし、今回は相当な泥試合になるような気がしています。バイデンさん対トランプさんとなるのでしょうけれども、「トランプさんは大丈夫か」という声が増えるでしょうし、バイデンさんだって、サンダースさんの出方次第ではそもそも党が割れる可能性がある。
飯田)お互いに傷を持ちながら、ということになる。
宮家)どっちもどっちになってしまうかも知れない。どちらかが選ばれるのでしょうけれど、注目は9月の第一週の経済状態、勝負はまだまだ先ですね。
日本にとって有利となるのは誰か~トランプ大統領のクセを知っている安倍総理
飯田)ここで外交のことを言うのはどうかとも思いますが、日本にとってと考えると、現職のトランプさんが出ることはもう決まっている。サンダースさんとバイデンさん、どちらが出て来るのかということでしょうけれども、この3人で比較すると、日本にとってどの人がいいのでしょうか?
宮家)サンダースさんになったら、みんなひっくり返ってしまうとは思いますがね。バイデンさんは以前、中国との親密な関係でいろいろ言われたけれども、バイデンさんのいいところはトランプさんと違って、ワシントンの専門家なり、既存の組織なりをオーソドックスにまともに使うだろうということです。バイデンさんになった場合、従来型の大統領制に戻るということにおいては、我々もこうしたやり方に慣れていますから、それはそれでいいと思います。トランプさんに関しては過去4年間、安倍総理を中心に日本は頑張って、何とかあの人と付き合う術をある程度は体得したわけです。不確実性が高いし、全然予測はできないけれども、クセはわかります。でも、どちらにしてもアメリカとの付き合いは難しいですね。時々で頭を使ってやるしかないですよ。
飯田)アメリカ大統領の場合、2選すると豹変するということも聞きますが。
宮家)トランプさんは豹変しないでしょう。1期目からずっと自己愛性、ナルシシズム的な人格障害と言われていますが、やり方は全然変わっていません。自分がすべての中心にいて、自分にスポットライトが当たって言いたいことを言う。テレビの司会者の時と同じです。あの人は変わらないと思います。
飯田)副大統領がペンスさんのままで行ってくれれば、ある程度は落ち着く。
トランプ氏2選の場合~副大統領をニッキー・ヘイリー氏に替える噂も
宮家)トランプさんが副大統領を替えるという話も、噂では出ています。国連大使だったニッキー・ヘイリーさんに替えるのだと。バイデンさんは、おそらく女性を副大統領候補に持って来るでしょう。そのときには「ペンスよりもニッキー・ヘイリー」という声がないわけではない。そうなるかはわかりませんが、噂としては流れています。
飯田)その辺は、相手を見て決めるところもあるだろうし。
宮家)あれだけ忠誠を誓って頑張っているペンスさんだけれども、替えられてしまうかもしれない。可哀想だけれども。
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