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アメリカ分断の最大の原因はメディアのあり方にある

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年2月15日 17時40分

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月15日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。トランプ前大統領の弾劾無罪評決から、アメリカのメディア環境について解説した。

米大統領選が開票  2020年11月3日、米カリフォルニア州のバーで開票速報を見る人たち(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

議事堂襲撃事件をめぐる弾劾裁判でトランプ前大統領に無罪評決

アメリカ連邦議会議事堂の襲撃事件をめぐるトランプ前大統領の弾劾裁判で、陪審員を務める上院議員による評決が日本時間2月14日に行われ、トランプ氏は無罪となった。有罪とするためには定数100の上院で出席議員の3分の2以上が賛同する必要があったが、50人いる共和党議員の多くは「無罪」と判断した。

米連邦議会議事堂前に集結したドナルド・トランプ大統領支持者=2021年1月6日、アメリカ・ワシントン 写真提供:時事通信

共和党議員が「裁判など必要ない」と欠席すれば弾劾成立の可能性があった

飯田)もともと17人くらい造反しないと難しいと言われていましたが。

須田)この弾劾裁判自体が辞めた大統領に対する弾劾裁判ですから、「それは違憲だから裁判など必要ない」ということで、欠席する人も出て来るのではないか。欠席者が出れば、賛成者のラインが下がるので、弾劾が成立する可能性があったのです。ところが、「欠席せず、出席した上で無罪票を投じた」というところがポイントです。

飯田)なるほど。

須田)いまの共和党は、「オールイコールトランプ」です。2020年の大統領選挙で7400万票を獲得しています。共和党支持者のかなりの部分がトランプ前大統領の支持者ということです。上院議員は2022年の中間選挙を控えていますから、そこを考えると、軽軽に反トランプには回りにくかったのだと思います。

米大統領選でバイデン氏の勝利が報じられた後、ワシントンのホワイトハウスに戻るトランプ大統領=2020年11月7日(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

4大ネットワークを含めほとんどのメディアが「反トランプ」に~トランプ支持者はネット系やローカルメディアに

須田)一連の動きのなかで、よくアメリカ社会の2極化、2分化という表現が出て来ます。これがどういうところから始まったのかといろいろと考えてみると、2016年、トランプさんが大統領に当選したときには既にあったのだと思います。そして2020年の大統領選挙でそれが極端に振れました。もともと社会の分断というのは、2016年には鮮明にあった。「フェアネス・ドクトリン」というアメリカのメディアの仕組みがあります。

飯田)公正中立原則、というような。

須田)逆です、「公正中立でなくてもいい」と。

飯田)いまはそうですね。

須田)そういう状況になっています。ケーブルテレビや衛星放送が登場したことによって、メディアの数が増えた。そうすると最終的にはマーケットメカニズムによって割り振りが起こるだろうから、それぞれの放送局やメディアは必ずしも公正中立でなくてもいいという考え方に入って行ったのです。

4日、米大統領選で優勢となり、デラウェア州で演説する民主党のバイデン前副大統領(ロイター=共同)=2020年11月4日 写真提供:共同通信社

アメリカの分断の最大の原因はメディアのあり方にある

飯田)そうですね。もともと公平原則が出ていたのだけれども、80年代に既にそれが撤回されたという形ですね。

須田)その結果何が起こったかと言うと、4大ネットワークはNBC・CBSは明らかに民主党支持です。ABCもどちらかと言うと民主党支持なのだと思います。唯一FOXが保守系放送局と言われていました。確かに2016年はそうだった。当時はトランプさん支持者のうち40%がFOXから情報を得ていると答えたという結果が出ています。ところが2020年の大統領選挙では、ほとんどすべてのメディアが反トランプに回ってしまったのです。

飯田)FOXも含めて。

須田)FOXも。FOXはキャスターによって色合いが違うのですが、トータルで見ると反トランプになってしまったのです。「メインストリームメディア」と言われる存在が反トランプに回ってしまったという状況になって、結果的に、両者が交じり合わないネット系や、ローカルラジオ局の方にトランプ支持者が行ってしまって、まったく違った、パラレルワールドにいるかのような情報発信が行われたのです。これが2極化の最大の要因かなと私は思います。やはりメディアの役割は大きいのだろうと思います。

飯田)同じ事象でも、どう角度を付けるか、あとは「報じる、報じない」ということも、それぞれの局によって変わる。「違う世界が見える」ということが現実に起こるのですね。

ジョージア州での集会で、こぶしを握るトランプ大統領(アメリカ・ジョージア州)=2020年12月5日 AFP=時事 写真提供:時事通信

クオモニューヨーク州知事の数字隠ぺい疑惑~なぜいまになって報道されるのか

須田)いま問題になっているニューヨーク州知事のクオモ氏の問題がありますよね。

飯田)老人ホームなど高齢者施設で新型コロナウイルスの死者数を過少公表したということなどで、大きなスキャンダルになっているようです。

須田)大統領選挙の期間中に、そのことを大手メディアは知っていたのか知らなかったのか。そもそもそこから問題になって来るのだろうと思います。この死者数の実数が不自然なのです。そこに疑問を挟みこまなかったとしたら、これはメディア側も大きなミスですし、それを意図的に報告しないようにしていたのか……。大統領選挙が終わってからこういうスキャンダルが出て来るというところは、かなり意図的です。これが先ほどの「フェアネス・ドクトリン」が成立していないアメリカの現状だと理解してもらっていいのではないでしょうか。

就任式で宣誓後、手を振るバイデン米新大統領=2021年1月20日、ワシントンの連邦議会議事堂(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

公正中立を謳って、偏る日本のメディアの方が悪質

飯田)こうなってしまうと、世の中の人たちは「一体何を信じればいいのか」ということになってしまいますよね。

須田)これは他山の石ではなく、日本のメディアの方がもっと悪質なのです。どうしてかと言うと、建前上は公正中立を謳っているではないですか。アメリカはもう謳っていません。

飯田)アメリカのメディアは、「うちはこういうメディアだよ」と見せているので、そういうものなのだなと受け取ればいい。

須田)スタンスを鮮明にしていますからね。日本のメディアは公正中立を装いつつ、一方に偏るではないですか。情報の受け手としては、より情報リテラシーを向上して行かないと、騙されてしまうことになると思います。

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