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中国排除・日米連携の通信政策でNTTが中心を担う複雑な環境

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年3月21日 17時59分

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参院予算委員会に臨む参考人のNTT澤田純社長=2021年3月15日午後、参院第1委員会室 撮影日:2021年03月15日 写真提供:産経新聞社

ジャーナリスト・須田慎一郎が3月21日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送『須田慎一郎のスクープ ニュース オンライン』に出演。日本の通信政策・安全保障においてNTTがおかれる複雑な環境について解説した。

菅義偉首相、バイデン米大統領(ロイター=共同)=2021年1月28日 写真提供:共同通信社

日米の緊密な連携の継続をアピールできワンポイントゲット

菅総理は来月(4月)にアメリカを訪れ、バイデン大統領と初めて対面し、日米首脳会談を行う。他の主要国首脳に先んじてバイデン氏と顔を合わせて会談が行われるのは、アメリカが最優先する対中国戦略で、地政学的にも重要な位置にある日本との連携を重視しているからとされているが、本当にそれだけなのか。

須田:アメリカというと、これまでトランプ政権のなかで一国主義というか、自国最優先主義のような形で進んで来た。ところが、バイデン政権になったら国際協調、特に同盟国との関係を優先してしっかりやって行きますよ、という方向に転換したわけです。そのなかで、アメリカにとって重要な地域や国がいくつかあって、やはりアジア太平洋地域で言えば、日本との関係ということになる。もちろん日本にとって、いちばん重要な国際関係、外交関係はアメリカであり、日米同盟であると。

ですからアメリカの大統領が変わる、あるいは日本の首相が変わると、いちばん最初にどこへ行くのかと言えば、一部例外はあるにせよほぼアメリカへ行って、大統領と会談をやるというのが習わしになっているわけです。

今回はアメリカの大統領が交代したということで、菅総理がいつ訪米して会談するのかということが注目されていましたが、各国首脳のなかではトップバッターで会談を持つことができたのは、外務省ないし日本の外交としてはワンポイントゲットかなと思います。

政権交代が行われても日米が緊密な連携、そういう関係にあるということを世界に向けて発信できたのは、評価できるのかなと思います。

新行:はい。

須田:私が最も注目しているのは、米中関係と言うとさまざまな局面があるけれども、やはり注目はハイテク分野です。特に通信などを中心とするハイテク分野、例えば5Gですよね。

言うまでもなくトランプ政権はファーウェイの排除……ファーウェイ以外にも、いくつか中国系のハイテク企業はあるのだけれども……政府調達からそういった企業の製品、サービスは外すということを決めました。加えて、そういったリストに載っている企業と取引しているような、外国企業からの政府調達もしませんよ、ということで、ある意味でデカップリングが進んで来ています。

実は、これは政策面で進めていると同時に、民間企業というか、民間も主導する形で静かに深く潜行しています。

参院予算委員会に臨む参考人のNTT澤田純社長(左)と東北新社中島信也社長=2021年3月15日午後、参院第1委員会室 撮影日:2021年03月15日 写真提供:産経新聞社

ハイテク分野での「日米連携」「中国排除」の中心的存在NTT

須田:例えばどういうことかと言うと、中国では中国共産党政府が指示を出せば、企業が集めて来たデータを提供しなくてはならないという義務を負っているわけです。いくら「やりません」と言っても、その法律に逆らうことはできない。だから、個人情報の漏洩等々を含めて非常にリスキーなので、要するに取引を切りましょうという動きが、アメリカなどを中心に起こって来ている。

新行:はい。

須田:そのなかで、最終的に完成した製品だけではなく、その製品に組み込まれているような、製品をつくるために必要な部品……部品と言っても、例えばCPUなどがなければパソコンなどの通信機器は使えませんよね。そういった、中心になっている部品です。これについても、チャイニーズリスクから除外するために、「中国製品は使いません。あるいは中国に部品を提供している企業のものは使いません」という動きになって来ているわけです。

全面的に中国排除という動きになっているのですが、実を言うと日本もかなり深く連携していて、その中心企業になっているのがNTT、旧電電公社ということで、ある意味で国策企業ですからね、NTTがそちらの方にずっと動いていくのも当然なんですが。

加えて、かつて電電公社を支えた電電御三家というものがありました。1社はもうすでにそういう役割を果たしていないのですが、残り2社のうち1社は富士通、もう1社は日本電気(NEC)です。こういったところが今後、半導体の生産を担って行くのではないかと思います。一時期は日の丸半導体というと、斜陽と言われていたのですが、いままさにもう1回チャンスが巡って来ている。

新行:なるほど。

須田:そういった流れで考えてみると、中国あるいは中国陣営サイドからすれば、「NTTって何だか目障りだよね」ということにもなるのですよ。もちろんそれに追随するかのように、ソフトバンクもかつてはファーウェイの端末を使うような動きを見せていましたが、いまは完全に関係を切っています。

NTTがそういった主導役、リーダー役を務めるとなると、結局日本の通信政策というのは反中国、非中国になってしまう。やはりここは、「NTTにくさびを打ち込んだ方がいいのではないか」というところもある。ですから、なぜNTTが、澤田社長がいま矢面に立っているのかを考えてみると、場合によっては水面下でそういう動きがあってもおかしくないと思っています。それが事実かどうかは別として、可能性として言っているのだけれども。

NTTをめぐる環境を考えてみると、非常に安全保障的な……あるいは中国との関係を考えてみても、複雑な状況に置かれていると思います。その枠組みのなかで日米連携というのが、日を追うごとに着々と進んでいる。そして、日本においてその中心を担っているのがNTTなのだと、そのように読み解いていただきたいなと思います。

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