高市大臣「もう質問しないでほしい」発言撤回 ギリギリの譲歩に至った「人質」
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2023年3月21日 21時44分
ジャーナリストの有本香が3月21日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。発言や文書を巡る国会での政争について解説した。
高市大臣が「もう質問しないでほしい」発言を撤回
高市経済安全保障担当大臣が3月15日、放送法の行政文書を巡って野党議員に「私の答弁が信用できないならもう質問しないでほしい」と答弁したことに対し、参議院予算委員会の末松委員長が14日午前に注意した。これに対し高市大臣は「重く受け止める」と述べ、そして午後になって「もう質問しないでほしい」発言を撤回した。
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ただし小西議員が出してきたこの行政文書の信ぴょう性に関しては疑問があるということで野党側に対する謝罪などはなかった。
飯田)なんだかもう、事の発端はこの文章の話だったはずが、発言が不適切だという方向性にいくのは何なのでしょう。
有本)これはいくつか整理しなければいけないのですけれど、そもそもこの文書というのは何なのかというと、非常に重要な文書なのだと。特に、安倍政権のとき、高市さんが総務大臣だったときに放送法の解釈が変更されたと野党側が言っているのですけれども、そういう事実はなかったということは確認されているわけですね。
飯田)実際に解釈変更が行われたわけではないと。
有本)はい。まるで、不適切なことが行われていたような、それを示す文書がなんとなく出てきて、それに対して高市大臣が「そうではない」と言っているのだと、そう捉えていらっしゃる方がいるかもしれませんけれども、総務省が調査して発表したところによると、立憲民主党の小西さんが出してきた文書のうち、高市大臣が「これは捏造である」と言った4枚の紙。捏造というのは、内容が確かでない、まったく事実無根なことが書かれているのではないかと言った、4枚の紙ですね。これに関しては総務省側も調査をしたけれども、この記載されている内容と当時の認識が一致したといっている人は誰もいないという話なのですよ。やはり書かれている内容は事実ではないとみられる。
飯田)この書かれている内容というのは放送法に関連して高市大臣に対してレクチャーにいってこういう発言を高市大臣がなさったみたいなことが書いてあるのだけれども。そんなことありましたっけ、ということですね。
有本)そうなのですよ、この時期に放送部局から高市大臣に対して放送法の大臣を変更するという説明を行ったのだと認識を示した人は誰もいなかったと言っているのですよ。ということは、その事実自体がないわけだから、いったいこの紙はなんだと。私から言わせれば怪文書の類でしょうと。この高市さんの「売り言葉に買い言葉」的なことをこれだけ問題にするのだったら、3月2日以降の予算委員会やそれから各種委員会も含めて、これだけこの問題で延々と、国策の重要課題がたくさんあるはずなのに、国会は事実上空転させてしまったこの責任がむしろ与野党両方にありますよね。
飯田)はい。
有本)このときに末松委員長が高市大臣を諫めるというようなことをおっしゃって、ずいぶんとご自身の持論みたいなことを言っていました。確かに大臣に「きちんと答弁してください」と言うことは大事な役割であると思います。とりわけ与党側としてはやはり与党をひいきしていると思われたくないというのはわかるのだけれども、ではこの「売り言葉に買い言葉」の最初の「売り言葉」を発した立民・杉尾さんの言ったことはよかったのですかと。あるいは、こんな怪しげな文書を持ち込んで国会をこのことでこれだけ長時間振り回すという野党側のやり方はそれはそれでいいのですかと。
総務委員会を人質にとった野党側の国会戦術
有本)それから高市さんは昨日の朝の時点では「謝罪も撤回もしません」と言っていたのが午後になって変わるわけですね。「『もう質問をなさらないでください』という答弁についてのみは撤回させていただきます」と言っているわけで、ぎりぎり譲歩しているわけですね。これは、どうしてそういう譲歩が起きたかというと、実は野党側は、この高市さんが出席していた予算委員会ではなく、まったくいま関係のない総務委員会を人質にとったわけですね。
ところがいま総務委員会でいったいいま何の法案がかかっているかというと、地方交付税交付金ですよ。
飯田)なるほど。
有本)そうすると地方はみんな困るわけですよ、地方交付税交付金の法案が止まると。
飯田)4月には統一地方選挙が予定されているなか、これが止まるとなると「与党がこうやっているから皆さんのところに予算がいかない」と。
有本)そういうことをやるわけですね。この国会戦術を、もういい加減にした方がいいですよ、本当に。そうやっていろいろな委員会などの日程を人質にとって嫌がらせをしていくような慣習的なことは、もうやめた方がいいですね。
飯田)高市さんご自身もいまは経済安全保障担当大臣でいらっしゃって、情報を扱うにあたってのセキュリティクリアランス、的確性の審査、その部分をどう法体系に位置づけようかという、まさに。
有本)佳境ですよね。先週末に高市さんは「謝罪も撤回もしない」と。これは与党や政権のなかから「謝ってしまえばいいのではないか?」みたいな流れがあったのだけれど、ご本人は「絶対に撤回しないのだ」と。確かに総務省の調査を見れば高市さんが言っていたことは正しいということは明らかですからね。そういう事態のなかで高市さんが罷免されるのではないかという情報も飛んだのですけれど、岸田総理はいまもうセキュリティクリアランスをやってほしいと思っていますから、そういう状況じゃない。けれども、いろいろな政争というのも絡んでいますからね。
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