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沖展賞受賞者インタビュー 「木工芸・漆芸・陶芸部門」(下)

沖縄タイムス+プラス / 2024年3月21日 4時59分

 

[沖展 2024 75th OKITEN EXHIBITION]

 沖縄県内最大の総合美術・工芸公募展、第75回「沖展」(主催・沖縄タイムス社)が23日~4月7日、ANAアリーナ浦添(浦添市民体育館)で開催される。一般応募の最高賞に当たる「沖展賞」受賞者に、制作の背景や抱負を聞いた。

木工芸 伊地優さん(38)

木目の美しさ 見どころ

 ガジュマルなどを素材に制作した東道盆(トゥンダーブン)で沖展賞を受賞した。実は木工芸を始めたのは2年前からと日が浅い。2022年から翌23年にかけて開かれた県の高度工芸技術者養成研修で習得した「全ての技術を駆使した」と笑う。

 技術的に困難だったのは猫足と呼ばれる脚の制作とふたに鳥や植物を彫る作業だったという。浦添美術館や県内の図書館に通い、技法やデザインを参考にして仕上げた。

 ねじとくぎの違いも分からないまま飛び込んだ木工芸の世界だが、東道盆とともに応募した重箱でも入選を果たした。「木工芸を始めたばかりでまさか沖展賞に選ばれるとは思わなかった」と話す。作品では、木目の美しさを見てほしいとし「これからも県産木材を使った作品を作っていきたい」と話した。

 

 いじ・ゆう 1985年沖縄市生まれ、宜野湾市在住

漆芸 嘉数翔さん(27)

県産材 自然の形生かす

 県立芸大大学院博士課程の1年生。琉球王国の古い技法「朱螺鈿」の技法を用いて作品を制作した。昨年は博士課程の受験で応募できなかったと言い「今年はリベンジのつもりで挑んだ。沖展賞を受賞してうれしい」と喜ぶ。

 県産木材であるヤブニッケイを使い、木の木目や節、洞などを巧みに利用し、ゆがみや割れなどの自然の形を生かした作品に仕上げた。貝そのものの色味を出す「伏彩色(ふせざいしき)」の技術も使用。「作品に吹く美しい風のリズムを感じてほしい」と話した。

 金沢美術工芸大学で学んだこともあり、元日に震度7を記録した能登半島地震の被災に胸を痛める。被災地支援のためにチャリティーオークションにも参加。「友人や先輩らも被災した。これからも力になりたい」と話した。

 

 かかず・しょう 1996年八重瀬町生まれ、同町在住

陶芸 佐渡山博子さん(74)

草花模様 細かく色づけ

 沖展会員の夫正光さん(73)と共に陶芸店「みやこ焼」を営み、20年前まで入選の常連だった。いったん応募から離れたが、3年前から大きな作品で挑戦。昨年の入選を経て念願の沖展賞に輝いた。

 宮古島の土は黒く焼き上がるため、沖縄本島の土で白化粧した。着物の柄をイメージして草花を押し当てた模様に、細かく色づけした。

 宮古上布の糸を作るよりかけ機を模した直径約50センチの円形。美空ひばりの名曲と上布の藍色をかけて作品名を「藍.燦燦(さんさん)」にしたかったが、正光さんの助言で緑色に変えたため、「春.燦燦」になった。

 「ずっと失敗の連続。頑張りました」。今後は原点に戻り小さな作品を作りたいと言う一方、「藍で勝負したい」と宮古上布をイメージした大作に再挑戦する気も満々だ。

 

 さどやま・ひろこ 1949年上野村(現宮古島市)生まれ、同市在住

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