1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

月収の4割超が家賃に消える… 沖縄の地価高騰、しわ寄せはどこに【3月30日~4月5日 タイムス+プラスから】

沖縄タイムス+プラス / 2024年4月6日 10時0分

 今週、心落ち着かない日々を過ごされた方も多かったのではないでしょうか。

 3日に発生した、台湾沖を震源地とする地震。台湾での被害の実態が徐々に明らかになり、心配な状況が続いています。沖縄でも、2011年の東日本大震災以来、13年ぶりに津波警報が発表され、県内各地を緊迫感が包みました。

 どこにどうやって避難するか、場所によっては逃げるべきか、とどまるべきか、子どものお迎えをどうするかー。この状況にいざ直面して、見えた課題も多かったのでは(私もその一人です)。関係機関には警報当時、どこに避難したらいいのかという問い合わせが殺到したそうです。

 沖縄タイムスでも、多くの人が「橋」へと避難した状況は適切だったのかなど、事後検証の報道が始まっています。災害はいつ、どこで、どう起きるか分かりません。いざというときにどうするか、改めて、大切な人たちと話し合う機会にしたいですね。

全国最低の沖縄の持ち家率、しかも年々減少

 さて今週のデジ編チョイスで取り上げるのは、5年ぶりの公表となった「ひとり親世帯等実態調査」です。全国に比べて離婚率が高い沖縄。県内のすべての世帯に占める母子世帯の割合は4.38%で、全国平均(2.30%)の約2倍に上ります。父子世帯も0.54%で、全国平均の0.29%を上回っています。

 調査では、母子世帯の9割超が物価高騰で生活が苦しくなったと答えるなど、深刻な実態が改めて浮き彫りになりました。

 注目したいのは、今回新しく設問項目に加わった「住宅費負担率」(月収に占める1カ月当たりの住居費の割合)。家賃が月収の4割以上を占めると答えたのは、賃貸アパートなど民間の借家に住む母子世帯で18.1%に上りました。月収の3割以上だと、さらに増えて、35.4%に膨らみます。

 家賃の負担は月収の3割が目安で、それを超えると「過重な負担」といわれます。

 持ち家率が全国で最も低く、しかも年々減少傾向にある沖縄。母子世帯の多くが民間の借家に住んでいるという中、調査には「給料の半分が家賃に消えるので(税金など)すべての支払い等ができないのは当たり前」などの声が寄せられました。

家賃は高騰、東京並みの地域も…

 沖縄県内の家賃は高止まりしています。

 沖縄県不動産鑑定士協会が実施した最新の「沖縄県不動産市場DIレポート」(2023年11月期)によると、県内の賃貸アパートなど共同住宅の賃料上昇感は過去最高に強まっており、今後も上昇傾向が続くと予測されています。

 「地価に加えて、資材価格や人件費といった建築コストが高騰する中、金融機関の融資厳格化も影響し、新築物件の供給は低調です。一方、県外二ーズに押される形で需要は高まっており、賃貸物件に不足感が出ている。建築コスト上昇分の上乗せもあり、結果として賃料が上がり続けています」

 同協会の高平光一会長は、記事「家賃高騰いつまで続く?」で、過去に例を見ない賃料上昇の勢いをこう分析し、公的な住宅政策の強化を提言しました。

 県外からの投資が活発化している宮古島では、賃貸物件が過度に不足し、家賃が東京並みに高騰する状況が起きています。

家賃助成制度の導入を求める声

 1人当たりの県民所得が全国最低水準で、持ち家率も全国で最も低い。一方で、全国トップの地価上昇(住宅地)を背景に家賃は高騰し、県民の住宅費負担は増していくー。そういった特殊な県内の事情が、まさに低所得の母子世帯を直撃している格好です。 

 今回のひとり親等実態調査に関わった沖縄大の島村聡教授は「民間の家賃は高く、公営は広くて安い。その差を埋めるような政策が必要だ。民間家賃の助成も必要ではないか」と指摘しました。県民の所得に照らし、アンバランスに住宅費負担が増している状況に、何ができるのか。今回の調査を機に、議論がより活発化してほしいと思います。

 少しずつ湿度が高くなってきた沖縄。自宅の湿度計は常に70%以上をキープ、80%を超えることも珍しくなくなりました。雨が増えてダムの貯水率が上がるのはうれしいけれど、室内のカビ対策は気が重い…。今週のデジ編チョイスは篠原知恵が担当しました。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください