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[社説]日米豪比の防衛会談 沖縄の負担増えないか

沖縄タイムス+プラス / 2024年5月8日 5時0分

 日本、米国、オーストラリア、フィリピンの4カ国の防衛相会談で、南シナ海での中国によるフィリピン船への度重なる妨害に「深刻な懸念」を表明した。

 中国とフィリピンは南シナ海で領有権を争っている。3月にはフィリピンの補給船が中国海警局の船から放水を受け、初めてのけが人が出るなど緊張が激化した。

 防衛相会談後の共同文書で南シナ海での中国の妨害行為を「危険で不安定化をもたらす」と名指しで非難した。

 国連海洋法条約に基づく仲裁裁判所が2016年、南シナ海での中国の主権主張を退けた判断を、順守するよう求めている。

 フィリピンでは中国に友好的だった前政権の終盤以降、マルコス現政権に代わっても南シナ海などを巡り、中国との関係が悪化してきた。

 米国との安全保障面での結び付きを強め、同盟国の日豪とも接近する。昨年6月に日米豪比で初の防衛相会談、今年4月には日米比の初の首脳会談を開いている。

 日本は尖閣諸島で同様の課題を抱えており、中国に自制を求める多国間連携を歓迎している。

 米国は台湾有事を念頭に沖縄の他にも足場を確保したい考えで、フィリピンとの防衛協力強化協定を基に、同国内で米軍が使用できる基地を増やしてきた。

 太平洋島しょ国への中国の影響力拡大を懸念するオーストラリアも自国から遠方で行動を阻止したいなど、それぞれの思惑が一致している。

■    ■

 米国が主導し、多国間で対中包囲網を強化する動きは広がっている。

 日米豪比の4カ国の連携は太平洋を取り囲む形で、中国の南シナ海、東シナ海での「力による現状変更」をけん制する狙いがある。

 日米韓のほか、日米豪印のQUAD(クアッド)、米英豪のAUKUS(オーカス)の枠組みもある。

 背景には軍事力を伸ばす中国を米国が一国で抑えきれなくなったという事情がある。

 ただ、各国を引き込めば引き込むほど、中国側は警戒を強めている。「力には力を」では限界があり、偶発的な衝突がエスカレートする事態を招く恐れがある。

 多国間のつながりが、もう片方を遠ざけるようなことがあってはならない。

 日本には中国の隣国として各国の間に入り、信頼を醸成し、対話によって緊張緩和の道を開く努力が不可欠だ。

■    ■

 米軍基地と訓練区域の集中する沖縄周辺の空や海では、日米を含む多国間訓練が相次いでいる。米軍には南西諸島と台湾、フィリピンを結ぶ「第1列島線」に中距離ミサイルを配備する構想がある。

 エマニュエル駐日米大使が石垣市と与那国町を訪れ、陸上自衛隊駐屯地を視察する予定で、日米の軍事一体化の一環との見方が出ている。

 多国間連携の強化では共同訓練を増やすと言うが、どこでどのような訓練を実施するのか、説明が足りない。

 沖縄の負担軽減に逆行することがないよう、注視しなければならない。

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