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抑うつ、パニック発作、不安…精神科“治療” 入院と退院はどういう判断? 精神科医に詳しく聞いた

オトナンサー / 2024年4月4日 7時10分

「精神科」外来の治療とは?

 著名人が自身のメンタルヘルス不調の経験を語ったりすることがあります。また、自身が「なにか気持ちが優れない」「なかなか寝られない」「不安に駆られる」といった症状を感じたりすることもあると思います。そこで、「精神科」と「心療内科」の違いをはじめ、「精神科」の外来治療、入院や退院などについて、精神科専門医の田中伸一郎さんに聞きました。

■日常生活に影響、服薬の管理が不可能、身体的な衰弱などで判断

Q.まず、「精神科」と「心療内科」の違いを教えてください。

田中さん「簡単にいうと、メンタルの不調なら『精神科』で、体調不良なら『心療内科』です。

 ただ、心身相関といわれるように、心と体は互いに影響し合っているので、心と体、どちらも調子が悪いとか、どっちが不調なのかわからないということもあるでしょう。

 採血などの検査を希望する場合は『心療内科』を選択し、背景に悩み事、困り事がある場合は『精神科』を選ぶのがよいと思います」

Q.では、どのような症状が出たら、「精神科」の外来治療を受けるべきでしょうか。また、どのような治療が行われるのでしょうか。

田中さん「何か悩んでいたり、不安やイライラといった以下のような症状で困っていたりして、日常生活にも影響が出ている場合には、精神科(メンタルクリニックなど)を受診することを考えてください。わかりやすくいうと、『悩みごと/症状での困りごと』があり、生きづらい時には受診を検討するということです。

症状としては、『抑うつ(気分が晴れない)』『不安』『過呼吸などのパニック発作』『イライラ』『幻覚(ありもしないものを感じてしまう)』『強迫(考えや行動に縛られてしまう)』『妄想(ひどく思い込んでしまう)』などがあります。

他にも『人間関係がうまくいかない』『忘れ物が多い』『ケアレスミスが続いている』『遅刻が目立つ』などがあれば受診し、相談してもよいかもしれません。もし、メインの症状が眠れない、食欲がない、頭痛、腹痛などの体調不良の場合は、子どもならば小児科、大人ならば内科を受診してください。

精神科(メンタルクリニックなど)での外来治療は、質問紙と問診によって診断が決まったら、まずは医師からどういう病気であるのかの説明があり、その上で主に『薬物療法が必要かどうか』について話を聞くことになります。

そして、(1)薬物療法が必要な場合、どのような治療薬の選択肢があるのか、その効果と副作用、服用期間、治療の見通しなどについて丁寧な説明を受けます。(2)薬物療法が必要ではない場合、カウンセリング・認知行動療法などが必要なのかを含め、どのような自己対処法(生活改善・気分転換・ストレス発散などのやり方)があるのかなどについて詳しい説明を受けます」

Q.「精神科」の治療で入院が必要と判断される例を教えてください。

田中さん「例えば、うつ病の場合、病状が極めて悪化して本気で死にたい気持ちが高まって患者さん自身でも身の安全を確保できなかったとき、食欲がなくなって体重が激減し、身体的な衰弱がひどくなったとき、病状悪化や一人暮らしなどのため、日常生活と服薬の管理ができなくなったとき、入院適応となります。

外来治療では検査ができないことが多いので、精密検査が必要な場合などにも入院適応となります。

他にも、脳に安全に通電することによって特定の精神症状を改善させる治療法『修正型電気けいれん療法(m-ECT)』など、特別な治療を行う場合にも、入院治療を要することがあります」

Q.「精神科」の治療で「退院してもよい」と判断される基準も教えてください。

田中さん「先ほど、うつ病の場合の入院が必要と判断される例を挙げましたが『ここまでを入院治療でよくして、ここからは外来で治療を継続する』という基準は、患者さんと主治医との相談で決まるところもあります。

おおよその目安としては入院時に悪化していた症状が改善していたり、症状がある程度残っていても日常生活にほとんど影響がなくなっていたりすれば、一応、退院可能であると判断されます。

患者や主治医が退院可能と考えていても、家族が反対して退院できないという例も、日本ではまだ少なくないと聞きます。

そのようなことにならないためにも、入院時から患者と家族の双方を含めて退院可能の目安について話し合いを十分に行うことが大切です。

また、『試験外泊』と言って、入院中に2泊3日などで一度自宅などに帰ってみて、症状のぶり返しがないか、薬を忘れずに服用できたか、ゆっくり過ごすことができたかをチェックする方法があります。最近では、コロナ禍も落ち着いてきたため、きちんと『試験外泊』を行い、患者、家族、主治医の3者がそれぞれの立場から退院可能かどうかを確かめてから、退院できるようになっています」

 抑うつ、不安、パニック発作、イライラ、幻覚、強迫、妄想、人間関係がうまくいかない、忘れ物やケアレスミスが増えた、遅刻が目立つといった自覚症状があったら、メンタルクリニックへ一度、相談に行くのもよいと思います。手遅れになってからでは、いけません。日ごろから、早期改善を心掛けるようにしましょう。

オトナンサー編集部

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