この不倫にもう飽きた。「離婚届を持った男」が追いすがってくる
OTONA SALONE / 2021年5月25日 22時0分
後ろ指をさされる関係とわかっていても、やめられない不毛なつながり。
不倫を選ぶ女性たちの背景には何があるのか、またこれからどうするのか、垣間見えた胸の内をご紹介します。
【不倫の精算#32前編】
「不倫なんて別に、珍しくない」独身女性の周囲は
36歳のOさんは、ドラッグストアに勤務している。普段からいろいろな取引先の男性と会うのだという。
独身でスタイルが良く、はきはきとした声で挨拶をするOさんは、職場でもモテるだろうなと思っていた。
「そんなことないですよ」
おそらくそういう指摘には慣れているのだろう、Oさんは屈託なく笑って答えていたが、その印象がガラッと変わる出来事があった。
その日、たまには遠出したいからと郊外のレストランにふたりで向かったのだが、彼女から不倫を打ち明けられたのだ。
「は!? 誰と!?」
“そういう感じ”がまったくなかったので驚いたが、Oさんは冷静な様子で答えた。
「職場に来る○○社の人なんですけど。
向こうが本気になってしまって……」
そのまま本筋を続けようとするのを遮って、期間ときっかけを尋ねた。
目をまん丸くして自分を見るこちらがおかしかったのか、Oさんはふっと笑った。
「別に不倫なんて、珍しくないじゃないですか」
いやそういう問題じゃない、と思ったが、黙ったまま次の言葉を待つ。
「後腐れがないからいいですよね、結婚している男って」
ハキハキと語る、“不倫慣れ”している独身女性の言葉
Oさんが付き合っている既婚の彼とは、日々の納品業務で接触しているうちに親しくなったそうだ。
Oさんに彼氏がいないことを聞いて「自分も嫁とはうまくいっていなくて」と愚痴を言い出し、恋愛や結婚の難しさについて話すようになった。
それは、既婚男性が不倫相手にしたい女性を落とすときのきっかけとしては常套手段だった。
だがOさんは、そんな男性に慣れていた。
「まず私が結婚しているか彼氏がいるかを確認しますよね。
で、フリーだとわかったらちょっかいを出してくる。
不倫なんて言葉は一回も出さずに、そういう関係にもっていこうとする」
そこまでわかっていて、どうして拒絶しないのか。
そう尋ねると、Oさんは首をかしげた。
「うーん、私から誘うわけじゃないし……。
必死に私を口説くのを見ていると、飢えてるんだなあと思います。
少し付き合って、飽きたらお互いにすぐ終われるから楽ですよ」
「でも、その後も会社で顔を合わせるんでしょう?
気まずくなったりしないの?」
料理を待つ個室で、Oさんはツヤのある髪を後ろに流してこちらを見た。
「そうならないテクがあるんですよ。
大丈夫です」
その、「あなたの疑問についてはすべて対策済み」とも読める答えに、たくさんの“場数”を踏んできたのだなと思わせる響きがあった。
既婚男性の離婚アピール、「離婚の本気度」を測るには
「それで、今回は?」
Oさんは不倫の善悪を聞かされたいわけじゃない。
奥さんのいる男性を好きになって悩んでいるわけでもない。
そう受け取ったので、続きを促した。
「ええと、今の人は本当に奥さんとはダメらしくって、私と本気で付き合いたいって言うんですよね。
嫁とは離婚するから待っててくれって言われて」
Oさんはトーンを変えずに進める。
「そんなの、よくある話じゃないですか。
私が別の男のところに行かないように牽制しているだろうなと思って適当に聞いていたんですけど、本当に離婚届を渡したって」
そう言いながら、Oさんはスマートフォンをこちらに見せた。
そこにはLINEのトーク画面が開かれていて、夫の欄だけ記入された離婚届の写真があった。
「うわ、こんなの送ってくるんだ」
”まあ、ここまでする男も珍しくはないが”、と思いながら答える。
こうして写真を見せて本気度をアピールする既婚男性も多い。
だが、ここから「妻が記入した離婚届の写真」まで出す人はいまだかつていたことがない。
「うん。
必死ですよね、もう。
それで、この間は『うちに来てくれ』って」
淡々と続けるOさんだったが、ここでため息をついた。
むしろ「どうすれば簡単に別れられるの?」わからない女
「うちに来いって、どういうこと?」
驚いて尋ねると、Oさんはちらりとこちらを見て水の入ったグラスを手にした。
「要は、奥さんと会ってくれってことみたいです。
一緒に離婚の説得をしてほしいみたいで」
そう言ってひと口飲み、ふたたびグラスを置きながらもう一度ため息をつく。
「これ、どうやったらうまく別れられると思いますか?」
その表情は、既婚の彼の気持ちをまったく受け入れていないことを伝えてきた。
「あ、別れるのは構わないのね?」
「うん。
だってもう面倒くさいし。
ここまでする人ってはじめてで、困っているんですよね」
異性への接し方がうまく、モテるだろうなと思っていたOさんが、実は「不倫常習者」だった。
そのショックはさておき、逃げの一手になった彼女にどう話すか、運ばれてきた料理を見つめながら考えた。
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