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40代50代がひそかに悩む「尿もれ」「頻尿」問題。なぜ起きる?どうすれば治る?専門医に聞きました

OTONA SALONE / 2023年5月23日 20時0分

女性ホルモンが急激に減少を始める更年期。この前後から「気になる」人が増えるのがGSM、閉経後尿路生殖器症候群です。デリケートゾーンのかゆみ、尿もれや頻尿、性交時の痛みや腟萎縮などのトラブルがあるなら、GSMの可能性が。閉経後の50%の女性が何らかの症状を持っているとも言われます。

たとえば、外出中の思わぬ「尿もれ」は、それが原因で外出が苦になり、人生の楽しみを大きく減らす可能性も。これらのGSMトラブルについて、女性の健康と美しさをサポートする女性泌尿器科の第一人者、女性医療クリニックLUNAグループ理事長 関口由紀先生に「どうすればいいのか」を教えていただきました。

 

GSMの代表格「尿もれ」。いつ頃から、どうして始まるの?

まず、尿トラブルを理解するために大事なキーワードは「骨盤底」です。恥骨から尾骨にいたるひし形のプレート状の部分で、骨盤底筋、靱帯、筋膜、皮下組織、皮膚(粘膜)でできていて、骨盤内の臓器を下支えしています。

 

生まれつき骨盤底の筋膜や靭帯が弱くて、子どものころから尿がもれる人は少数います。そうでない場合でも、妊娠・出産により、骨盤底は大きくなった子宮を支え、経腟分娩をすることで大きなダメージを受け、多くの人が出産前後に尿もれを起こします。この場合の尿もれは、1年以内に9割以上の人は治ります。

 

40歳くらいから多くみられるのは「腹圧性尿失禁」です。骨盤底筋トレーニングをしていない等の理由で骨盤底の筋肉量が減ってきて始まる尿もれで、最初は咳やくしゃみ、重いものを持ち上げた時など、お腹に力が入ると尿がもれ始めることで気づきます。

 

産後に尿もれがあった人は、更年期ごろの尿もれリスクもあがるのか?とよく聞かれます。産後の尿もれは前述の通り、傷ついた靭帯が元に戻れば9割以上が治ります。しかし、改善した人でも骨盤底の損傷が潜在的に残っている場合があり、50歳前後の更年期を迎えた時に、女性ホルモンの低下と骨盤底筋の筋肉量の減少が相まって、咳やくしゃみで再び尿もれが起きるケースが多々あります。

 

腹圧性尿失禁の約9割は出産経験者です。出産経験がなくとも、加齢とともに骨盤底筋の筋力が弱ると尿もれを起こすことがあります。

 

尿もれが急増する年齢はあるの? 産後の尿もれは更年期でまた復活するの?

閉経は50歳ごろに迎えるケースが平均的なのですが、閉経によって女性ホルモンが10分の1に減少すると、50%ほどの人にGSM(閉経後尿路生殖器症候群)が生じます。骨盤底の皮下組織と靱帯も弱くなっていき、60歳くらいから尿漏れがドドドッと増えていきます。

 

65歳くらいになると突然の尿意が我慢できず尿もれを起こしてしまう「過活動膀胱」「切迫性尿失禁」も増え始めます。70歳を過ぎると腟から膀胱や子宮、直腸が出てしまう「骨盤臓器脱」が起き始めます。

 

尿もれの割合は、腹圧性尿失禁が50%、切迫性尿失禁25%、両方の症状が現れる混合型尿失禁が25%です。

 

どの程度の症状なら「治療を始めるべき」ですか? 判断基準と治療法は

尿もれは、放っておいても死に至る病気ではありません。しかし、尿もれが不安で外出ができない、テニスやゴルフなど運動の趣味ができないなど副次的な影響を引き起こし、引きこもりがちになり気分が落ち込むなど生活に支障をきたすことも。早めに女性泌尿器科や婦人科を受診しましょう。治療法は以下の通りです。

 

■骨盤底リハビリテーション

私のクリニックでは、骨盤底の状態を診察し、理学療法士が骨盤底リハビリテーションをマンツマーンで指導します。

 

■内服薬

「腹圧性尿失禁」では尿道括約筋を締める作用のある薬剤、「過活動膀胱による切迫性尿失禁」は尿意を抑える作用のある薬剤などを処方。

 

■磁気刺激療法

骨盤底に磁気を当てて骨盤底の筋肉や神経を刺激し、尿失禁を改善します。着衣のまま座って行えます。

 

【レーザー治療】

■Er:YAGレーザーを腟内にあてるインティマレーザー治療

粘膜・腟壁の厚みが増え、腟のゆるみや尿失禁などの症状を改善します。

 

■フラクショナルCO₂レーザーを腟壁や外陰部に照射するモナリザタッチ®

腟の厚みが戻り腟萎縮を改善し外陰部のシワ、たるみにも効果的。

関口先生の施術中写真

■ボツリヌス療法(ボツリヌス毒素膀胱壁内注射療法)

顔のしわ取りやけいれん止めに用いるボトックスを膀胱の筋肉に注射します。過活動膀胱、切迫性尿失禁治療に行われ、保険適用になっています。注射は局所麻酔下に行われ注射時間は10分程度。1年に1回行います。

 

ポリプロピレンテープを用いた尿失禁手術(TOT,TVT,TFS手術)

それでもよくならない深刻な尿失禁には手術があります。毎日1回以上尿がもれる、尿もれの量が多く尿もれパッドからもれて下着までぬれてしまうなどの尿トラブルで、外出する気になれないなら手術をお勧めします。

 

ポリプロピレンでできた特殊なテープを尿道の下に留置し、尿道のたるみや下りを直し、尿もれを防ぎます。手術は日帰り~1週間入院で、保険適応の手術と自費手術があります。

術中の合併症はほとんどなく、術後の陰部や足の痛みも全くありません。手術時間は15〜20分程度と短く、再発が少ないことが大きなメリットです。

 

つづき▶気を付けて!尿もれを呼ぶ意外な「生活習慣」。「自分でケア」するなら何ができますか?

 

≪美容・健康ライター、エディター 葉山より子さんの他の記事をチェック!≫

 

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