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「ご用件は?」「お名前をお伺いしても?」この電話応対がどうにも失礼なワケ

OTONA SALONE / 2018年4月30日 11時30分

「ご用件は?」「お名前をお伺いしても?」この電話応対がどうにも失礼なワケ

仕事の用があって電話をかけた時、希望する相手が不在で「ご用件は?」と聞かれたことがある人も多いはず。確かに相手にしてみたら、留守中に電話があったことだけを伝えるよりも、その内容を伝えた方が良いのでしょうね。しかしこの「ご用件は?」……何かイラッとするのはなぜでしょうか。

 

イラッとする2つの理由

「あなたでは話にならないのよ」と思っている相手に、「用件を聞かせて」と言われている状態だということがまずあります。用件を話してみても、おそらく分からず、不在だった相手が戻ってきた時に、もう一度同じことを言わなくてはなりませんよね。

さらに「ご用件は?」と言葉が途中で終わっている為、ぶっきらぼうに感じるのも大きな理由です。

でもいざ自分がそのセリフを言う場面になったら、何と言ったらいいか分かっている人は少ないと思います。
本当はどう言ったらいいのでしょう?

 

なぜイラッとする?

あまり現実的ではありませんが、かなり大げさな例にして分かりやすくしてみますね。

「社長は今いる?」
「いません。ご用件は?」

この例が2つの理由でNGなのは、肌感覚で分かりますね。
1つは、社長と直に話すレベルの人は、あなたなんかに聞かれたくない用件があって、社長に取り次いでほしいのだと言っているのに、その用件を聞かれたということ。「用件次第では、社長に取り次がないけど?」的な雰囲気が漂っています。
2つめは、「ご用件は?」という言い方が、ぶっきらぼうな言い方だということです。

 

用件を伺う立場じゃない場合

まず1つめの「立場」ですが、この解決策、取り次ぎ方法は、会社により異なります。
一般的には、社長ほどの人に取り次ぐ前に、何人も担当者がいますし、アポイントも必須です。
しかし、そのような中間の人間がいない従業員数人の職場もあります。お店もそうですね。
取り次ぐ人が、社長では非現実的ですが、直属の上司ぐらいだったらどうでしょうか。かなり良くある話になると思います。同僚も同じですね。

いずれにせよ、あなたが間に入っている場合は、相手は「取り次ぎ」だけをお願いしているので、用件を伺うのは失礼にあたるのだと捉えましょう。
その上で、そういった場合にどう取り次ぐかは会社のルールに従うことが大切です。
基本的に「取り次ぎ」をお願いされている場合は、取り次ぎが出来るか出来ないかをお答えして、相手に判断を委ねるのが良いでしょう。

A「今、〇〇はあいにく席を外しております。」B「戻り次第折り返しお電話さしあげましょうか。」
A「今、〇〇は他の電話に出ております。」B「終わり次第ご連絡さしあげましょうか。」

その際、このAとBは一気に言わず、間、一呼吸おくと良いようです。
「留守だったら伝言を頼もう」「電話中だったらまたかけなおそう」と、相手が既に対応を考えている場合もあるからです。

会社の規模や事業内容により、自分でも対応できる場合がありますよね。
先方もそのことを知っているようなら、

A「お電話があったことをお伝えしておきます。」B「替わりに私が対応できることはありませんか? 用件を伺ってもよろしいでしょうか?」

と相手に丁寧に伺うのが良いでしょう。
この場合も、AとBの間に一呼吸おきます。

 

例外:セールスの場合

突然の電話は、セールスの場合もあります。いちいちつないでいたら大変ですよね。
こちらの場合も会社のマニュアルに従うことが前提です。

言い方によっては不快な思いも

さて、次は言い方です。言い方次第では相手に不快な印象を持たれずに済みます。
「ご用件は?」という言い方には述語がありません。何をどうするの「どうする」の部分がないことで、伝わるには伝わるのですが、ぶっきらぼうな言い方になるのです。
「おい、お茶」と一緒ですね。
「お茶」も「お茶をいれてください」「お茶をいれてくれない?」という述語までしっかり書くと丁寧に感じます。

「ご用件は?」も同じです。「用件」が何?ということです。
「どのようなご用件でしょうか?」「どういったご用件でしょうか?」「ご用件は何でしょうか?」
このように最後まできちんと言うだけで、印象は大きく変わります。
「用件」は、「用件を先に言いなさい」「用件はいったい何なの?」のように使われることが多い言葉なので、迷惑がられている印象が強いという原因もあります。このようなイメージを持つ言葉は、余計丁寧に言う必要がありますね。

最初に「よろしければ」「お差し支えなければ」「失礼ですが」「恐れ入りますが」などのクッション言葉を挟みます。

「よろしければご用件を伺ってもよろしいでしょうか?」
「お差し支えなければ、ご用件を承りますが?」

というように、ぐっと丁寧に言っても良いでしょう。

「お名前は?」も同じ

「ご用件は?」と同じで、「お名前は?」という言葉も、立場と言い方で解決できます。
特に名前に関しては、用件と違い、忘れていると失礼な場合もあるので、要注意です。
よくある「お名前を頂戴してもよろしいでしょうか」「お名前頂戴できますか?」は誤った日本語なので使わない方が良いでしょう。

「お名前を伺ってもよろしいでしょうか」

がベストです。

「お名前をお聞かせいただけますか」
「お名前をお聞きしてもよろしいですか」
「お名前を教えていただけますか」

も良いですね。
また、こちらも最初に「失礼ですが」「恐れ入りますが」などのクッション言葉を挟むとぐっと丁寧になります。

 

「お伺いしても」は二重敬語!

なお、「お伺いしてもよろしいでしょうか」ですが、

  • 「伺う」は「聞く」の謙譲語であること
  • 「お〇〇する」は謙譲語であること

以上二点から、「お伺いする」は二重敬語となります。
相手によっては「教養がない人だ」と思われてしまいますので、気をつけましょう。

 

≪国語教師・文章コンサルタント・文章力養成コーチ 松嶋有香さんの他の記事をチェック!≫

 

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