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【逆説の日本史】日本の主流とはならなかった「アジアと固い絆を持った人々」の思い

NEWSポストセブン / 2024年7月5日 7時15分

 そして同じ思いを抱いたればこそ、これまで中立政策を取っていた北欧のスウェーデンもフィンランドもあわててNATOに加盟したのではないか。もし膳場発言が正しいとすれば、スウェーデンもフィンランドもすべて「戦争を招く愚かな国」であり、ゼレンスキー大統領もウクライナ国民も「愚か者」ということになってしまう。

 もちろん、現実に対して理想というものは存在する。だが、大変残念ながら理想は現実に対して「役立たず」であることが少なくない。早い話が、プーチンは「平和憲法」を守る義務は無い。「平和憲法」あるいは「憲法第九条」は、なんの抑止力にもならないのである。現実問題として日本を守っている抑止力は、その平和憲法から「排除」されている自衛隊と、日米安保条約である。それが現実だ。理想を抱くなとは言わない。それはご自由であるが、ジャーナリストや歴史家は決してこの現実から目を逸らしてはならない。

 現実と言えば、日本はウクライナを侵略しているロシアとの領土問題がある。いわゆる北方四島の問題だが、日本のマスコミはずっとロシアびいき、つまり左翼偏重でこの問題を矮小化しようと努めてきた。

 ここでクイズを出したい。北方四島と言えば択捉島、国後島、歯舞群島、色丹島だが、一番大きい択捉島と次に大きい国後島の面積はどれぐらいか、あなたは認識しているだろうか? 現在の日本列島のなかで(本州、北海道、九州、四国を「島」と考えなければ)一番大きい島は一つの県をなしている沖縄本島だが、択捉島や国後島はこの沖縄本島にくらべて何割ぐらいの面積か、概算でもいい、あなたは答えられるだろうか?

 四割? 五割? それとも八割? 全部違う。じつは、この両島とも沖縄本島よりも大きいのである。この北方四島は日本固有の領土で、南樺太(サハリン)のように日露戦争で奪ったものでは無い。戦前の日本領土で台湾(九州ぐらいの面積)を「島」と考えなければ、最大の島と言えばこの択捉島で、次に大きいのが国後島だったのである。

 いや正確に言えば、つまりロシアの不当占拠を認めなければ、いまでも日本最大の島は択捉島なのである。しかし、たぶんあなたはそれをご存じなかっただろう。つまり、これがマスコミあるいは教育によるこの北方領土問題の文字どおりの「矮小化」ということである。

 現在のロシアは帝国では無く共和国のはずだが、中国と並んで「最後の帝国主義国家」である。そもそも帝国主義とは、それに反対する共産主義者が、自国の利益のために他国の主権を踏みにじり次々と植民地化していった欧米列強を批判する言葉として生まれたものだが、皮肉なことにかつて共産主義国家ソビエト連邦であったロシアと現在も引き続き共産主義国家である中国が、帝国主義という悪しき習慣を受け継いだ形になっている。皮肉と言えばこれ以上皮肉な話もあるまい。

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