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映画『九十歳。何がめでたい』脚本家・大島里美さんが明かす、唐沢寿明演じる“時代に取り残された”編集者の猛烈なキャラクターができるまで

NEWSポストセブン / 2024年7月24日 11時15分

「先生が書けない理由として、長年の執筆でひどくなった腱鞘炎の痛みを挙げて『もう書くのはやめろという天の配剤だ』と言えば、編集者が『では、もしも指の痛みがなくなったら、その時は天の配剤だと思って連載を引き受けてください』と返すとか、実際のやりとりがとにかくおかしくて(笑い)。印象的なやりとりは映画でそのまま使っています。

 原作(『増補版 九十歳。何がめでたい』)にある、愛子先生の旭日小綬章受章記者会見での問答を映画のゴールとして、編集者とタッグを組んでベストセラーを生み出していく過程に、原作から選りすぐりのエピソードを無理なく組んでいきました」

中高年世代から共感を得る「時代に取り残された編集者」

 かくして大島さんによって生み出されたのが、唐沢寿明さん演じる編集者・吉川真也の猛烈なキャラクターだ。会社では昭和気質なコミュニケーションがパワハラ・セクハラだとやり玉にあがり、家庭では妻と娘に愛想を尽かされる。時代に取り残され哀愁たっぷりの吉川なのだが、映画を観た世の中高年世代からは絶大な共感を得ている。

「そうみたいですね(笑い)。吉川は愛子先生の影響を受けて前向きになって人生が上向く私たち目線のキャラクターとして、先生と絡んだ時にボコボコになれる環境があったらいいなって。そこで、吉川自身が仕事面でも家庭面でも問題を抱えている必要がありました。それはまったくのオリジナルです、念のため。

 職場で若者から煙たがられる吉川ですが、社会でもここ10年で世代間の断絶が進んでいる。ハラスメントの意識は世代によって微妙なラインにしたかったというのがあります。仕事を頑張ってきた中高年にはこれまでの延長線で“それでパワハラになっちゃうの!?”という戸惑いや吉川への共感を生むふるまいでも、若い子からしたら“そんなの許せない”というラインかもしれませんし」

 いつまでも昭和の価値観を引きずる吉川は時代について行けずにモヤモヤするが、その《時代に取り残された》ことが本作のキーワード。佐藤さんからも「時代遅れのばあさんの面白さを描いてほしい」と要望があり、時代遅れの2人の逆襲がテーマとなっている。

「ちなみに吉川が河島英五さんの『時代おくれ』の替え歌を歌って編集部のメンバーをドン引きさせるシーンは、唐沢寿明さんのアドリブです(笑い)。脚本は原作ベースでオーソドックスに作りましたが、監督の遊び心ある演出や撮影現場のアドリブでコメディー度合いが増しています」

面白くなるなら原作になくてもかまわない

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