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【人物デザイナーが解説】大ヒット映画『翔んで埼玉』シリーズの「ド派手衣装」はいかにして誕生したのか

NEWSポストセブン / 2024年10月5日 11時15分

 構造としては同じだと思います。要は工房的なやり方なのです。現代アートの工房システムみたいなものです。たとえばコスチュームデザイナーだったら、服飾のみのデザインですよね。でも、人物デザインだと全体になる。そういう意味では、アニメーションのキャラクターデザインのほうに近いのかもしれないです。

──アニメーションのキャラクターデザインは、そのキャラクターの造形から衣装や髪型や小道具まで創作するパートですから、たしかにそうかもしれません。

 ただ、アニメーションのキャラクターデザインだと、二次元の状態で止まっています。でもこちらは、そこから具体的な制作に携わっていく。つまり三次元化させていくのが本分なのです。それに加えて撮影期間を滞りなく進行するよう管理もしています。

──アニメーションのキャラクターデザインは、デザイン画を描けば、あとはアニメーターたちがそれを動画にしていくわけですが、実写だとそのデザインした衣装を作らなければならないし、俳優に合わせてメイクやヘアメイクをしなければなりませんし、さらにそれを撮影現場の事情に合わせて調整する必要もあります。そう考えると、似て非なるところがありますね。

 そうですね。そこからがこちらは本分とも言えますから。

『どうする家康』だったら「人間家康」

──人物をデザインするといっても、独断ではできませんよね。監督やプロデューサーとは、どのように考えを擦り合わせていますか?

 そもそもお話をいただくのが監督かプロデューサー、あるいは主役からなんですよね。それで、たいていは原作がありますし、原作がない場合でも脚本の原案はあります。

 それでオファーが来て、「かくかくしかじかな、この方向の作品なんだ」というお話をいただいて「ああ、なるほど」ということになり、進めていきます。

──その段階では、監督やプロデューサーとはどのようなことを確認していますか?

 どういう方向性の作品にしたいのかということですね。現実社会に対して、どのような提示をする作品にしたいのかがとても大切なので、そのメタ構造(現実社会を意識した物語の構成)を理解しないと。それを作品世界の中に縮図として成立させるのが自分の方法です。作品世界をその世界性だけで成立させる方もいらっしゃるかと思うんですけれども、僕はあまりそちらのほうじゃなくて、現実社会とリンクするメタ構造にしていく。そうしたコンセプチュアルな方向性を、第一弾の話し合いの中で感じるようにしています。最初の話し合いの中で「こういう感覚のことだな」ということを、ふわっとした空気感として得る。そして、プロットや箱書きのような状態のもの、あるいは、脚本の第一稿の段階になったところで、コンセプチュアルなワードを自分の中に決めていきます。

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