【逆説の日本史】大失敗に終わったシベリア出兵が生んだ陸軍の知られざる「善事」
NEWSポストセブン / 2024年12月20日 11時15分
〈第一次世界大戦(1914~18年)時のシベリアや満州には、ポーランドを分割占領していた帝政ロシアにより「政治犯」として流刑にされた独立派や経済移民ら20万人のポーランド人がいた。ロシア革命(1917年)に伴う内戦で多くの子供たちが親を亡くしたり、飢餓や病気に苦しんだりしていた。〉
(『産経新聞電子版』2023年9月27日付「100年前の日本人が示した人道精神 シベリアのポーランド孤児救出から1世紀で記念式典/小島新一記者」より一部抜粋( )内は引用者)
プロイセン、オーストリア、ロシアの三国間に位置するポーランドは、いまから二〇〇年以上前の一七九八年にこれらの国に分割支配され消滅していた。
ポーランド人は何度も独立運動を起こしたが、失敗。彼らは政治犯として「シベリア流刑」となった。また、仕事を求めてシベリアへ自ら移住した者も含め、ロアシア革命勃発時は約二十万人のポーランド人がいた。こうしたなか、革命に反対するポーランド人は迫害された。
一九四五年(昭和20)八月に、日ソ中立条約を一方的に破棄して満洲へ侵攻したソビエト軍が略奪、強姦の限りを尽くしたように、このとき「残留ポーランド人」の少なからずの人数が、ソビエト軍に虐殺され女性はレイプされたのである。そして子供たちも孤児となって放置され、そのままいけばシベリアの荒野で餓死するか残留孤児となるところだった。
ところが、そうはならなかった。一九四五年に日本人の子供たちが「中国残留孤児」になってしまったのは「救い手」がまったくいなかったからだが、このときのポーランド孤児には頼もしい「助っ人」がいた。シベリア出兵していた大日本帝国陸軍である。
その救済について述べる前に、以前にも少し述べたかと思うが「戦場におけるレイプ問題」について少し触れておきたい。これはどんな戦争でも必ず起こりうる問題だからだ。具体的に言えば、これは「男性兵士による住民女性への性加害」である。
どんな軍隊にも個性というものがあるが、そうした観点から見ればソビエト軍(ロシア軍)というのは伝統的にレイプを「好む」軍隊である。いまのウクライナ戦争でもロシア軍はやっているようだが、重罪人を「国のために戦えば罪を免除してやる」などと焚きつけて前線に出す、というのがロシアの伝統的なやり方で、そうであるがゆえに性加害が増えることになる。
しかし、じつはこれはロシアだけの問題では無く、戦争というものに常につきまとう現象ではある。徴兵制とはなにかと言えば、それまで普通の生活をしていた市民を戦場に駆り出すことである。そして戦場に駆り出すということは、イコール敵の兵士を殺せ、つまり「殺人を犯せ」ということである。だから軍隊では必ず一般兵士に、最終的には「野獣になれ」と強制する。そうしなければ戦士として活用できない。
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