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【逆説の日本史】大失敗に終わったシベリア出兵が生んだ陸軍の知られざる「善事」

NEWSポストセブン / 2024年12月20日 11時15分

 さらに「韓国は、第二次世界大戦中に、何十万人もの韓国人女性が性奴隷として働かされたことをめぐり、謝罪をするよう何十年も日本に働きかけてきた」と指摘。「何十万」という数字や「性奴隷」といった表現には問題があるものの、日本に謝罪を求めながら、自らの問題には頬かむりする韓国の姿勢を浮かび上がらせた。〉

 イギリスのこの問題に対する救援団体も、「ライダイハン」と「慰安婦」の問題を同次元のものとしてとらえているようだ。しかし、私はこういう見方には異論がある。ここでちょっと考えていただきたい。ベトナム戦争で韓国軍が展開していたのは、わずか数年である。だが、最低でも五千人ものライダイハンが生まれた。

 では、中国が非難してやまない日本の満洲事変以降の侵略で、日本人兵士が現地女性をレイプすることによって生まれたライダイハンのような混血児がどれぐらいいたか、あらためて考えていただきたいのだ。もちろんゼロでは無いだろうか、数はきわめて少ないはずだ。少なくとも何千人という単位では無い。では、なぜ野獣と化した兵士たちの性欲をコントロールできたのか? もうおわかりだろう、慰安婦がいたからだ。

 つまり、日本軍というのはさまざまな批判があるが、少なくとも兵士のセックス管理についてはもっとも早くからきちんと考えていた軍隊なのである。だからこそ慰安婦制度はすべて正しいなどと言うつもりは無い。そもそも物事や組織が「すべて正しい」とか「すべて悪だ」などと決めつける考え方では歴史は語れない、と申し上げているのだ。

 このポーランド孤児救出問題もそうだ。なぜ日本軍だけが孤児を救出することができたのか? それはロシア革命潰しを狙った各国軍が早々に見切りをつけて引き揚げたからである。フランス軍のみならず、最後まで粘ったイギリス軍も、いつの間にかチェコ軍団が消滅し「救出」という大義名分を失ったアメリカ軍も、早々に撤兵した。

 しかし、あくまで「バイカル博士の夢」の実現を望んだ日本軍は、各国の非難をものともせずにシベリアに居残り続けた。この居残りの動機を「正」か「悪」かと問えば、どちらかと言えば「悪」だろう。しかし、日本軍がそうしたからこそポーランド孤児を救出することができたのであり、結果的にポーランドは東欧一の親日国になったのだ。人間の世界とはこういうものであり、その軌跡が歴史だ。ここであらためて「鬼平のセリフ」を噛みしめてもらいたいところである。

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