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【逆説の日本史】「歴史家の使命」としていま述べておくべき日本人と全人類の将来にかかわる提言

NEWSポストセブン / 2024年12月30日 11時15分

 本拠の江戸城を海沿いに築城し安心していた徳川幕府も、慌ててお台場(砲台場)という人工島を造って黒船をインターセプトしようとしたがうまくいかず、結局「江戸湾には入ってくれるな、横浜に行ってくれ」という形で危機を回避するほかは無かった。林子平のこの名言は、そうした黒船が実際にやって来る事態を予測して述べたものである。時の老中松平定信は「医者のせがれのくせに世迷言を言うな」と子平を厳しく弾圧したが、結局子平の予測は正しかった。

「原発銀座」はどこに造る?

 さて、二〇二五年が始まる時点で私が林子平を見習って日本人に提言するならば、次のようになる。

 日本の東京から中国・上海まで境無しの空域なり。これを無視して日本だけ原発廃止に進んでよいのか

 細かい数字については、私はその分野の専門家では無いのできわめて大づかみに述べよう。日本の隣りに中国という厄介な国がある。その国の人口は日本の約十倍である、しかも「一人っ子政策」という極端な愚策を実行したために、高齢化が進む日本より一段と早く高齢化が進んでいる。これから数十年後確実に高齢化大国となる中国にとって、もっとも必要なエネルギーとはなんだろうか? もちろん電力だろう。

 中国人は最近、自分の国は「世界一」だと事あるごとに自慢するけれども、地方に行けば行くほど高齢化に向けての病院の設備や鉄道駅のエレベーター整備など、現時点ではまったく進んでいない。都会に住む中国人はまだしも中国人全体ということで言えば、真夏にエアコンで涼を取っている人間はそれほど多くはないだろう。だから、今後そういう人たちのために多大な電力を必要とするのである。彼らだって人間だ。それを求める権利はある。

 問題は、その膨大な電力をなにによって賄うかだ。中国にこれ以上水力発電用のダムを築かせ水をせき止めさせたら、南アジアが干上がってしまう。かと言って、化石燃料である石炭の燃焼による火力発電をさらに進めてもらっても困る。CO2が大量に地球にバラまかれることになるからだ。つまるところ、中国は原子力発電を盛んにするより他は無いということだ。日本なら地熱発電や風力発電などにシフトし、少しは原子力発電を減らすことは可能かもしれないが、中国の電力需要は桁が違う。産業の育成という点から見ても電力は不可欠である。

 では、このまま放置しておけばどういうことになるか、わかるだろう。中国は原子力発電所を今後大量に建設するだろう、ということだ。だが、二〇一一年七月に中国の高速鉄道が大事故を起こしたときのことを思い出してほしい。当局は原因究明をするどころか、穴を掘って事故車両を埋めてしまったではないか。そういういい加減な国なのである。仮に原発の設計はキチンとなされていたとしても、施工の段階でその設計どおりに原発が造られるかも保証の限りでは無い。

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