1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

急拡大中のスキマバイト、職場では「スキマさん」 条件や環境の悪さに上がる悲鳴「インフルでも出ろって、やばい」「闇バイトよりはマシ」

NEWSポストセブン / 2024年12月30日 16時15分

 いまやタバコの煙でもうもうとしていた社内は禁煙となり、制服姿のお茶くみ女性も社内から消えた。令和の教え子に話すと驚かれる、是非はともかく時代はアップデートされてゆく。

「いまバイトでもハケンでもよほど扱いの悪い会社や店でもなければそういう呼び方ってしないですよね、でもスキマバイトでまた復活してる感じです」

コロナでもインフルでも出ろって、やばい

 1990年代半ばから2000年代にかけてのいわゆる「ハケン」労働問題はこの国の「負」の歴史でもあったと思う。自由化の名のもとに失われた30年の象徴でもあった。

 とくに労働者派遣法の1999年改正(派遣業務の拡大)、2004年改正(派遣期間の延長と「物の製造の業務」の解禁)は一部派遣会社経営者の「人間を売買してたくさん儲けて逃げる」を可能にしてしまった。2007年に発覚した偽装派遣、二重派遣、労災隠蔽、勝手な給与規定変更、備品購入の強要の「グッドウィル事件」などまさにそれだが、同社に限らず多くの幹部が人間を売買して稼ぎ、逃げて悠々自適の生活をしている。

 大量の「ワープア」「ネカフェ難民」が社会問題となってようやく2012年改正で規制強化となるわけだが、この期間に膨大な数の労働者が犠牲となった事実は確かに、この国の歴史にある。

 スキマバイトはその時代に比べれば牧歌的なものだと思っていたが、問題も多そうだ。さらに話を聞く。

「スキマバイトなのに当日欠勤にペナルティがつくことですね。ずっと問題になってますけどいまだに問題無用でペナルティです。インフルでも出ろって、やばいですよね」(前出のスキマバイトをしている会社員)

 少し補足しなければならないが、インフルエンザの場合、多くのスキマバイトではいったんペナルティがついたあとにカスタマーセンターに相談、ということになっている。そこでペナルティが取り消されるか否かは各社それぞれ、ケースバイケースだ。

 意外と勘違いしている人もいるのだが、日本には季節性のインフルエンザというだけで会社に出勤してはならないという、国としての法的な基準もそれのみによる罰則もない。勘違いしている人はおそらく学校と同じにしているのだろうが、学校保健安全法では明確に登校禁止とその期間が定められている。しかし労働安全衛生法には新型インフルエンザや結核、ノロウイルスなどを除き、季節性インフル出社の可否に国の法的な拘束力はない。

 安全配慮義務の観点から学校保健安全法を参考に独自基準を作る会社がある一方、「インフルでも会社に来るとは気合いが入ってる」という「あたおか」な会社が存在できるのもそうした事情による。あくまで企業も労働者も「個々人の自由意志」が国の建前だ。そもそも新型か、季節性かなんてスキマバイトの1日どころか数時間限りの1回こっきりで判断しようもない。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください