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急拡大中のスキマバイト、職場では「スキマさん」 条件や環境の悪さに上がる悲鳴「インフルでも出ろって、やばい」「闇バイトよりはマシ」

NEWSポストセブン / 2024年12月30日 16時15分

「インフルでも無理して出る人もいると思いますよ。スキマバイトはあくまで『アプリ』を運営する会社ですし。そういうところの責任とか、ないから儲かるんでしょうけど」

 バイト先の会社や店によっては検温の指定がある。それで熱なら当然キャンセルとなる。しかし、それがない会社や店ならインフルでも頑張って働けてしまう。季節性なら個人の問題で違法ではない。あくまでマッチングサービス、これはフードデリバリーサービスや電動キックボードのシェアリングサービスと同じ理屈でアプリを提供している。

 問題が起きるたびに改正を含めた姿勢はとるが、最終的には「うちはアプリを提供しているだけ」である。

 別のスキマバイト経験者に話を聞いた。中小企業に勤め、会社の許可を得てスキマバイトに登録している男性(50代)の話。

「私の場合は若い社員から『お父さん』呼びがあったね。親しみを込めた『お父さん』じゃなくて、ヤンキーとかそういうのが中高年を小馬鹿にするときの『お父さん』だ。わからないところを聞くと『お父さんさ~』だ。全部じゃないけど、嫌な働き口にあたるのは仕方がないとあきらめてる」

 それでもスキマバイトがあると助かるとも。

「嫌なことなんて仕事でたくさんあったから、そんなの気にしてたら食っていけないよ。物価も税金も上がりっぱなしで使えるお金が減るばかりだ。そもそも会社が『足りなかったら副業してもいいよ』と自分から賃金を上げる気がない」

 経営の苦しい中小企業に限らず、近年では大手でも副業を許可する企業が増えている。三井住友銀行や日産自動車、丸紅などの大企業も副業解禁に踏み切った。事前承認や月20時間以内など条件はあるが、こうした大手はともかく中小企業の場合は彼の言う通り「賃金上げられないから外でも働いてよ」が本音だろう。

 しかしダブルワークにスキマバイト、なかなか厳しいものがあるとも。

「条件の悪いとこばかりだね。交通費が出ないとこもあるし扱いも雑。レビュー書いたって運営は事業者の味方だから意味なんてない。(スキマバイトサービスとの)付き合いはほどほどにしないと、あの地獄だったハケンの時代みたいになりかねないと思う」

 彼は2000年代に製造業の派遣も経験している。「あれは地獄だったよ、なんであんなのが野放しだったのかわからない」とも。まさに政治による人禍だったが風化した。それでもそれぞれに、当事者の心にはあの「ハケンの時代」が残っている。貴重な証人の言葉だ。

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