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本谷有希子氏、約10年ぶりの長編小説『セルフィの死』インタビュー「昔は勘違いしても糾されなかっただけで、全て比較できる今は勘違いさえできない」

NEWSポストセブン / 2025年1月24日 7時15分

 昔は汚いものにこそ本質があるみたいな言い方をしたけど、今は違う。真実は普通に美しく、汚いものは単に見苦しい排除の対象だとか、人間の感覚が物凄い速さで変化している。人間らしさを手放すことでもし本当に幸せになれるんだとしたら、私達はなんて世界に生きているんだろうと思わなくもないですけどね。

 ただ、昔はこうだったと言い張るのも違う。私達は勘違いしても誰にも糾されないから平気だっただけで、今の子達は全て比較できるから勘違いさえできない。そこまで人間が急速なアップデートを求められ、でも簡単には変われずに矛盾を生んでいる渦中を書けることが、なんか、居合わせたなっていう感覚なんです」

〈傷つくことは、私のアイデンティティだ〉と言ってなおも抗う主人公の痛みや、どんな人のどんな生も俯瞰することで、「私達って滑稽だね」と笑いに変えることはできると本谷氏は言う。

【プロフィール】
本谷有希子(もとや・ゆきこ)/1979年石川県生まれ。2000年に「劇団、本谷有希子」を旗揚げ。作・演出を手がけ、2007年『遭難、』で鶴屋南北戯曲賞、2009年『幸せ最高ありがとうマジで!』で岸田國士戯曲賞を受賞。2002年には初小説「江利子と絶対」を発表し、2011年『ぬるい毒』で野間文芸新人賞、2013年『嵐のピクニック』で大江健三郎賞、2014年『自分を好きになる方法』で三島由紀夫賞、2016年『異類婚姻譚』で芥川賞を受賞。著書に『生きてるだけで、愛。』『静かに、ねぇ、静かに』等。161cm、O型。

構成/橋本紀子

※週刊ポスト2025年1月31日号

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