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TOKIOにスピード負けした「ジェットカー」の“本当の実力”、“激安100円電車”、“えらい高い電車運賃”の理由《関西私鉄よもやま話》

NEWSポストセブン / 2025年2月12日 15時54分

 一方、阪急は千里線に「万国博西口」駅を設けて、アクセス路線にする準備を進めていた。「新たな2本目のアクセス線に関わって負担を増やしたくない」との思惑もあった。

「御堂筋線の終着駅の江坂駅からシャトル便のバスを運行すればそれで十分だ」という意見が出てきたこともあった(もし本当にそんなことをしていたらバスは数千台が必要になったと推測されている)。

 結局、阪急が子会社をつくって建設することになった。「万博を成功させるため」との大義名分が阪急を動かしたわけだが、どれだけ莫大な赤字を生み出しても自社だけで損失を被ることがないように、大阪府と大阪市をしっかり抱き込んだのはさすが阪急だといわれた。

 ところが大阪万博は、予想を倍以上も上回る6400万人の入場者を記録した。1日当たりの平均入場者は35万人に上り、その7割近くを北大阪急行・地下鉄御堂筋線が輸送した。

 おかげで建設費の償却が、半年間の観客輸送で完了してしまった。

 また万博を契機に千里ニュータウンの開発が一気に加速し、沿線人口が急増した。赤字を心配するどころか、混雑対策に頭を悩ませることになる。これほどの“幸せな誤算”はなかった。

 徹底したコスト削減などの企業努力もあって、運賃はずっと安く抑えられ、いつしか「大阪で一番安く乗れる電車」を経て「日本で一番安く乗れる電車」になってしまった。

 北大阪急行は2016(平成28)年、隣駅までの運賃90円を100円に値上げした。値段だけを見ると、若桜鉄道(鳥取県)の最安区間・八頭高校前‐郡家間と並んだ。しかし、近畿圏や首都圏など都市部の大量輸送機関では圧倒的な安さを誇っている。

 五大私鉄の派手な競争ばかりを見ていると、「やっぱり関西の電鉄会社がやることはえげつないことばっかりや」と思われがちだが、初乗り100円で頑張っているけなげな電鉄会社があることもぜひ心に留めておいていただきたい。

日本で最も運賃が高いと噂の電車

 日本一運賃が安い電車が大阪にあれば、日本一運賃が高い電車も大阪にあると騒がれたことがある。

 大阪府南部の泉北ニュータウンを走る泉北高速鉄道(中百舌鳥‐和泉中央)だ。

 大阪市南部と泉北ニュータウンを直接結ぶ路線として、南海が建設を計画していた。しかし、資金面の問題から大阪府の第三セクターが建設・経営し、南海に業務を委託するという形で1971(昭和46)年に開業した。2014(平成26)年には南海に株式が譲渡され、南海グループの一員となった。

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