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幸運は6割の確率でやってくる!「成功の統計学入門」

プレジデントオンライン / 2015年6月8日 9時15分

数学者オイラーが導き出した「幸運の確率」とは?

「人生五分五分」というのは、実は間違い。人は自分が思うよりずっと運がいい。さらに、運を支配する方法を身に付ければ、幸運の確率はどんどん高まる。その秘訣を教えよう。

■オイラーが解いた「出会いの確率」

あなたはいいことが起きる確率と、悪いことが起きる確率は半々だと思っていないだろうか。たしかにサイコロを振って偶数の目が出るか、奇数の目が出るかは2分の1の確率だ。

しかし、人生はそれほど単純ではない。サイエンスナビゲーター(R)の桜井進さんは、「いいことが起こる確率は約63%。悪いことが起こる確率は約37%。五分五分ではなく、6対4で幸運のほうが多いのです」と言う。桜井さんがこう断言する根拠は、1708年にフランスの数学者ピエール・モンモールによって提示された「出会いの問題」にある。

〈AとBの2人がトランプのカードをエースからキングまで13枚持ち、それぞれ1枚ずつテーブルの上に同時に出していく。2人とも同じ数だった場合、「出会い」が起きたとする。それでは、13枚すべてを出し終わっても、出会いが全く起こらない確率は何%か。また、カードの枚数を増やして「n枚」にしたら、出会いの確率は変わるのか〉

この問題は1740年ごろ、「オイラーの公式」などで有名なスイス生まれの数学者レオンハルト・オイラーによって解かれた。結論から言うと、出会いが一度も起こらない確率は約37%。一度でも出会いが起こる確率は約63%。しかもカードを130枚まで増やしても、この確率はほぼ変わらないのである。

「AとBの2人が同時に同じ数のカードを出すことを、男女の“運命の出会い”だと考えてみましょう。私たちは異性に求める条件がいくつかありますよね。性格とか顔とか収入とか。これらの条件を1つも満たさない人と出会う確率は約37%。逆に言えば、1つでも条件を満たす人と出会う確率は約63%もあるということなのです」(桜井さん)

ちなみに相手に求める条件が増えれば増えるほど、運命の人に出会う確率は爆発的に低くなっていく。

サイエンスナビゲーター(R) 桜井 進氏

「よく人生は五分五分だなんて言うけれど、本当は6対4でうまくいく確率のほうが高い。つまり、この世に生まれてきた者勝ち。この世に生きている人間に対して、神様はアドバンテージを与えてくれているんですよ」(桜井さん)

■「まず行動する」ということが大事

しかも「自分は運がいい」と思い込むことは、さらなる幸運を招くという。

「私は運について興味があって、14年間、どうすれば運がよくなるか研究してきました。自分でもいろいろ試しただけでなく、400~500人いた部下をサンプルにして、どういう人が運がよくなるかを観察してきたのです」

と言うのはSBIグループの役員や社長を経験した横山信治さん。「自分は運がいい、ツイていると信じ込むことで、行動が積極的になります。この行動するということが大事なのです」(横山さん)。

たとえば女優になりたいと思っている人がいるとする。心の中で思っているだけでは、女優になれる確率はゼロに近いが、芸能関係者の目にとまる場所へ出かけていって、自分をアピールすれば、夢が実現する可能性は高まる。

「結婚したいと思うなら、家で婚活の本を読み続けていても何も変わらない。やっぱり相手のいるところに出かけていかないと」(横山さん)

■運をよくする行動習慣とは?

自ら行動を起こすことで、成功の確率は大きく変わる。まさに運はコントロールできるのである。さらに横山さんは、「水面下で応援してくれる人を増やすことで、幸運を引き寄せることができる」と断言する。

オフィス・フォー・ユー代表取締役 横山信治氏

「結局、会社で上位20%に入れるかどうかは周囲の人に応援してもらえるかどうかにかかっています。会社は、平等を掲げているわけじゃない。人事権を持った人が給与や昇格を決めているわけです。つまり、その人にいい印象を持ってもらわないといけない。運をよくするには相手に好印象を持ってもらう必要があります」(横山さん)

それでは自分を評価する人にだけ、いい印象を持ってもらえばいいかといえば、それも違う。人間は常に全方位から観察されている。誰彼となくいい印象を与えておくことが大切だ。

「こう言うと、『自分は実力で勝負するから、そんなことは関係ない』と反論する人がいます。しかし実力社会といわれるアメリカですら、リーダーは一緒に働く人を喜ばせることにものすごく腐心している。だからこそ部下は『この人のために一生懸命働こう』と思うわけです。言い換えれば運とは、常日ごろの自分の行動の結果なのです」(横山さん)

実際に横山さんは、こんな事例を見ている。

「どちらも将来を嘱望されていた2人の男がいました。それぞれ時期は違いますが、2人とも部下がコンプライアンス違反を犯したことがあったのです。1人は遠くへ飛ばされ、二度とエリートコースに戻れなかった。もう1人は厳重注意で終わりました」

人間が処分を下すときの物差しなど、あってなきがごとし。心証が大きくものをいうのである。横山さんは言う。

「重い処分を受けた人は、自分は運が悪かったと思いますよね。それは不運に違いないけれど、たまたまじゃない。日ごろの周りの人とのコミュニケーションが影響しているということです」

運をよくするのも悪くするのも自分次第。運をうまくコントロールして、よい人生を送りたいものだ。

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サイエンスナビゲーター(R) 桜井 進(さくらい・すすむ)
1968年、山形県生まれ。東京工業大学理学部数学科卒業、同大学大学院修了。東京工業大学世界文明センターフェロー。主な著書に『感動する!数学』『面白くて眠れなくなる数学』など。


オフィス・フォー・ユー代表取締役 横山信治(よこやま・のぶはる)
1982年、日本信販(現三菱UFJニコス)入社、全国トップ営業マンに。2001年ソフトバンクファイナンスに転職し、日本初のモーゲージバンクSBIモーゲージ設立。同社役員を経て、14年4月独立。

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(ライター&エディター 長山 清子 宇佐美雅浩(桜井氏)、澁谷高晴(横山氏)=撮影)

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