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富裕層が必要以上に"過去"にこだわる理由

プレジデントオンライン / 2018年3月2日 9時15分

江上治『残酷な世界で勝ち残る5%の人の考え方』(KADOKAWA)

仕事や生活がうまくいく人といかない人の違いは、どこにあるのでしょうか。富裕層に特化したFPの江上治氏は、「資産1億円以上の人たちには、よく過去を振り返り、それによって自分という存在を把握している。一方、うまくいかない人は常に、現在・未来に目線がある。だからいつも前のめりで、過去を振り返ろうとしない」といいます――。

※本稿は、江上治『残酷な世界で勝ち残る5%の人の考え方~“持たない時代”に本当に持っておくべきもの』(KADOKAWA)第3章「稼げるオタクになるための『人生PDCA』の回し方」を再編集したものです。

■「成功者」に共通する3つの要素

私は富裕層に特化したFP(ファイナンシャル・プランナー)として、資産1億円以上のクライアントを多数抱えている。彼らのような「成功者」と長年接し、言葉を交わしていると、「うまくいく人特有の傾向」というべきものがいくつかあると理解できるようになる。その中で、全員に共通するのが、「自己肯定感が強く、“オタク”を目指す」「行動の無駄を無くす」「時間とお金の価値に対する認識」という3つの要素だ。

まずは「自己肯定感」についてである。

自己肯定感が強ければ性格は前向きになるし、行動もより積極的になる。「やってやろう」という気概も出てくる。

一方で、自己肯定感が低い人は、自信のなさゆえにチャンスがきても「失敗したらどうしよう」と不安が頭をもたげ、尻込みしてしまって挑戦できない。そして、周囲の意見や情報に振り回される。反面、自信のなさや自分の弱みを他人に見せまいと、必要以上に強がったり、虚勢を張ったりするときもあるから厄介だ。

■自分の価値を知ってオタクになる

なぜ、うまくいく人は、自分を肯定できるのか。それは「自分の価値」を知っているからである。より具体的に言えば、「自分がお客さまに何を提供すれば、喜ばれるのか」がわかっているのである。そして、一度自分の道を決めたら、あきらめない。ほかの選択肢は捨てるのだ。

ここがポイントだ。どんなに能力が高い人間であっても、すぐに結果を出せるわけではない。一足飛びに、アマチュアからプロになることなどあり得ない。専門的なスキルを身につけた、一人前の「オタク」として周囲に認められるまでには、誰でもそれなりの時間がかかるし、自己投資も必要だ。大きな苦労を伴うだろう。それに耐えて、ひたすら自分の価値の研磨に専心できる人間――つまり、脇目も振らず、自分が立てた方針通りに、時間とお金を自分に投資できる人間だけが、最終的には勝っていくのだ。

■「成果を生まない行動はすべて無駄」と意識する

次は2つめの「行動の無駄を無くす」についてだ。うまくいく人とうまくいかない人の行動の違いをつきつめれば、「無駄があるかないか」に帰着する。

筆者に言わせれば、「成果(お金)を生まない行動はすべて無駄」である。ひたすらまじめに仕事に打ち込んでも、一向に成果を生まなければそれは無駄な労働であり、無駄なコストである。

わが社にも、目的意識が希薄なスタッフがいる。頻繁に遠い場所まで出かけて、人に会いに行く。

「人脈をつくりに行きました」
「新しい社内の仕組みづくりに必要なアイデアを得るためにうかがいました」

といった明確な目的があるのなら、私はその行動を否定しない。しかし「なんのために○○さんに会いに行くの?」と聞いても、「誘われたので」と答えるものだから、話にならない。

うまくいく人は、無駄を徹底的に切り捨てる。「望む成果」という一点にフォーカスして、そこから外れたものはすべて排除する。

このご時世でも飛び込み営業を行う人がいるが、まったくの時代遅れだ。そんな非効率なことをするよりも、「SNSを活用していかに見込み客をつくるか」に頭を絞ったほうが、よほど効果が期待できるだろう。

■感情に流されずに数字で判断する

3つめは「時間とお金の価値に対する認識」だ。うまくいく人・うまくいかない人の違いは、時間やお金に対する認識に顕著に表れる。

写真=iStock.com/baona

この2つは、人間にとっての大事な資源である。うまくいく人はその価値をよく知っているから、「なんのためにこの時間を/お金を使うのか」をまず明確にする。目的が明解になれば使い方を間違えないし、決して無駄にしない。できる人ほど時間とお金を、自分の人生の質やスキルを高めるために有効活用しているのである。

時間とお金には、共通点がある。それは、数字で表されるということである。

数字は正直である。言い訳が入り込んだり、感情に流されたりする余地はない。現実をそのまま表してくれる。それを冷徹に分析して、日々の行動や経営に生かせばいいのだ。

しかし、それを実践している人は、ほんの一部だ。経営者だというのに、数字が苦手な人もたくさんいる。私はファイナンシャル・プランナーとして、多くの企業の決算書を日頃から目にするが、経営が苦しい会社の経営者ほど、数字の判断が苦手である。

収入が少ないのに、支出を抑えられない会社も少なくない。経営者の性格、心得に起因しているようだ。「楽しいことをしたい」という意識が強すぎて、意味があるとは思えないパーティーに出席したり、余計な出費をしたりしてしまう経営者も多い。彼らも、厳しい数字が出ているのは認識しているらしい。しかし、それを見て見ぬふりをしてやり過ごそうとしている。これでは経営は成り立たない。数字を基に現実を直視し、「では、どうするか」と対策を考えることが欠かせないのだ。

■最も確かな「過去」を大切にする

うまくいく人とうまくいかない人の行動や考え方の違いを、「自己肯定感」「行動の無駄」「時間とお金に対する認識」という3つの面から具体的に述べてきた。見事に両者の違いが際立ったところで、最後の問いに行きたいと思う。「なぜ、彼らは3つの側面を持てるようになったのか?」である。

人生が成功するかどうかに向けて最も大切なのは、「準備」だ。「PDCA」でいうところのP(プラン)を立てる前の仕込みがきわめて大切なのだ。これができないために、失敗している人が実に多い。

最初に行う「準備」は、自分自身へのリサーチだ。自分を知らなければ、戦略を立てられないからである。「うまくいく人は、自分の価値、強みを知っている」と述べた。それが自己肯定感を生み、さらにその価値を磨き上げて、これだけは誰にも負けないという武器を手に入れられる。そして、ほかにはいない唯一無二の「オタク」として、世間から認められ、稼げるようになる。

■過去を振り返るのがつらければ無理はしない

ここで、その前提となる価値、強みをどのように把握するのかが問題になる。

人間は、過去、現在、未来という1本の線上を歩いている。うまくいかない人の目線は常に、現在・未来に注がれる。だからいつも前のめりで、過去を振り返らないのだ。一方で、うまくいく人はよく過去を振り返り、それによって自分という存在を把握する。「私たちにとって最も確かな時間は、過ぎ去った過去の中にしかない」とよく理解しているからだ。過去を見つめて現在の自分を把握し、確かな未来を想定できるのだ。

では、うまくいかない人は、どうして振り返らないのだろうか。過去にいいイメージを持っていないからである。失敗を繰り返し、周囲に迷惑をかけ、多くの人から叱責を受けてきた。そのできない自分を直視するのが怖いのである。読者の皆さんの中にも、過去の振り返りを拒む気持ちを持つ人はいるだろう。そのおびえがあるうちは、必要以上に振り返る必要はない。拒否反応が出るだけだろう。むしろ、目を背けたい出来事にはフタをして、徹底的にプラスのことだけを振り返ったほうがいい。それがプラスの発想、自己肯定感を育むことにつながっていくからだ。

振り返るべき項目はいくつかあるが、特に大事な項目がある。

・楽しかったこと、好きだったこと
・人に評価されたこと、ほめられたこと

の2つである。

オタクとしての自分をつくり上げるには、ある程度の時間がかかる。いくら我慢強い人でも、楽しくない、不快なことを、長い時間をかけて努力し続けられはしないだろう。時間を忘れて取り組めるだけの、自分が好奇心の強い分野で勝負をしなければならないのである。だから、自分が本当に楽しいこと、好きなことを見つけるのが重要なのだ。

同時に、他人に評価されたものは何だったのか、自分は何が得意だったのかを、冷静に振り返ってみてほしい。上下の2つの要素が合致したものが、あなたの真の価値、強みになる。

これを把握できればあなたのマインドは強くなるし、将来の道の方向性も定まってくる。あとは、それに磨きをかけていけばいいのである。

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江上 治(えがみ・おさむ)
ファイナンシャル・プランナー
オフィシャルインテグレート代表取締役。ライフシフト代表取締役。1億円倶楽部主幹。
1967年、熊本県天草市生まれ。有名スポーツ選手から経営者まで、年収1億円を超えるクライアントを多数抱える富裕層専門のファイナンシャル・プランナー。

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(オフィシャルインテグレート 代表取締役 江上 治 写真=iStock.com)

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