年収2000万の人"資格の勉強まずしない"
プレジデントオンライン / 2018年11月30日 9時15分
※本稿は、「プレジデント」(2017年5月15日号)の掲載記事を再編集したものです。
趣味編
情報収集、付き合いに役立つ教養――仕事とリンクしているかどうかが分かれ目
趣味に関する質問の2位・3位は高所得者が「外食」「スポーツ」、低所得者は「読書」「映画鑑賞」だった(図1)。「高所得者のほうが外食の頻度や運動時間が多く、活動的ですが、それが趣味にも反映している。低所得者は読書、映画鑑賞、テレビと比較的お手軽な趣味が並んでいるのが特徴」(不動産から医療法人まで年商100億円の企業グループをつくり上げた金森重樹氏)。
経済評論家、投資家として活躍する加谷珪一氏によると、高所得者の外食、スポーツは純粋な趣味というよりも実益を兼ねているようだ。「高所得者には、やはり自分をマネジメントするストイックな姿勢が感じられます。低所得者の4位が買い物ですが、お金と時間の浪費を繰り返す負のスパイラルに陥っている可能性があります」。
高所得者は外交的で活動的である一方、本もよく読む傾向がある(図2)。「エグゼクティブがビジネス書や専門書を多読しているのは間違いない。ただ、飛ばし読みで、じっくり読む習慣はないでしょう。話に引き込まれて、気づいたら朝だったということはたぶんないはず。逆に読書が趣味という低所得者の中にはエンタメ小説に入り込んで、つい夜更かししてしまう人もいるのでは」(加谷氏)。
趣味に費やす時間は、高所得者のほうが長く、休日も多くの時間を割いている。平日は仕事で忙しいため、休みのまとまった時間を趣味に充てているようだ(図3、4)。「ただ、高所得者は仕事と趣味の境界が曖昧。趣味の時間が長いといっても、仕事にリンクしている可能性が高いのでは。仕事が遊び、遊びが仕事じゃないと高収入は得られないと思います」(金森氏)。
加谷氏も「本当の趣味は没頭してしまうので、確実に仕事にはマイナス」と語り、高所得者の趣味を次のように分析する。「純粋に好きなことばかりやると、上達するにつれますます自分のダメなところがわかってきて、もっとうまくなろうとのめり込んでしまう。しかし高所得者の趣味の大半は、仕事に生かせる教養を仕入れるためのものだからのめり込みすぎることはないでしょう」。
勉強編
多忙でもスキマ時間に勉強、仕事の専門性を磨くのが成功への道
勤務時間が長いにもかかわらず、勉強時間も長い高所得者(図1)。金森氏は「高所得者は、長時間労働の割に勉強の習慣がある人の割合が多い。勉強し続けることが所得の差につながったのでしょう」と分析する。
では、いつ勉強しているのか。その答えを見ると、高所得者は連日連夜ハードワークをこなしながらも平日のアフターファイブや昼休みのスキマ時間も利用していることがわかる(図2)。「会計系コンサルファームに勤めている知人男性は、いつも夕食の前と後の20~30分間、必ず勉強するそう」(加谷氏)。夕食後くらいゆっくりしたいと思うのが普通だが、こうした意志の強さも高所得者の特徴だ。
昼休みの活用ではこんな例もある。「以前、ある中央官庁キャリアの係長とランチをしたんですが、そのあと彼は空いている会議室で英会話のトレーニングをしていました。聞くと、毎日昼休みに15~20分続けているそうです」(加谷氏)。
勉強の内容に関しては、両者の違いが鮮明に。高所得者は「仕事上の専門知識」、低所得者は「資格」が2位に挙がった(図3)。「高所得者は、資格のように何点とったら合格といった勉強はまずしません。戦略的に物事を考えるのが仕事ですから、そこに求められる知識を広げるための勉強なのです」(加谷氏)。
コメンテーターの2人が口をそろえるのが「資格に依存すると一流になれない」ということ。資格の価値や有効性というものは、国や団体の方針、時代の流れによって変わってしまうリスクがある。例えば、本格的なAI時代が到来すれば、行政書士や司法書士などの士業は不要になるとよく言われている。
高所得者の勉強は専門性が高いため、それなりのお金もかかるようだ。月に2万円以上使っている人の割合が低所得者に比べてかなり高い(図4)。
自分のプライベートタイムも仕事と同じくマネジメントし、計画どおりに行動できる人こそ一流になれる――これが今回の調査から見えてきた結論だ。
調査方法●編集部と楽天リサーチで実施。個人年収500万円未満150人、個人年収2000万円以上150人から回答を得た。調査日は2017年3月15~16日。
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経済評論家
東北大学工学部原子核工学科卒。日経BP社(記者)、投資ファンド運用会社を経て、コンサルティング会社を設立し代表に就任。
行政書士
不動産投資顧問。東京大学法学部卒。不動産、建設、ホテルチェーンなどグループ年商100億円の企業グループのオーナー。
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(河合 起季 撮影=大沢尚芳、鈴木啓介)
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