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7100人の頂点に立った一流"CA"声かけ術

プレジデントオンライン / 2019年2月6日 9時15分

ANAセールス 東京本店法人販売室 小松原由衣氏

優秀なビジネスパーソンは「話し上手」といわれる。だが実際には「トーク力には自信がない」と答える人が多い。なぜイメージと矛盾するのか。7人のプロに話を聞いた。第2回はCAの「愛される力」――。(全7回)

※本稿は、「プレジデント」(2018年12月17日号)の掲載記事を再編集したものです。

■乗客間のトラブルにどう対応するか

全日本空輸に入社後、客室乗務員として国内線、国際線を経験した小松原由衣氏。2015年に「OMOTENASHIの達人コンテスト」個人部門エキスパーティーズ層で優勝し、7100人の頂点に立った。

客室乗務員に必要な資質は何か。そう聞かれたら私は、一番に「気づき力」を挙げます。フライトの目的が移動である以上、「気持ちのいい接遇」は千差万別。お客様一人ひとりに合わせたベストを探り続けるのが私たちの仕事だからです。

私は、ANAらしいおもてなしを体現する「OMOTENASHIの達人コンテスト」で、運よく優勝することができました。それが影響したのか、VIPの方々を担当する機会も増えました。「お忙しい方々への対応は簡潔明瞭に」というのが定石ですが、中には「移動中はゆっくり会話を楽しみたい」という方もいます。はじめのご搭乗御礼のご挨拶の際、お客様のご様子から、どのようにお過ごしになりたいかを察するように努めます。自己紹介をしたとき、目線をきちんと合わせてくれる方は、ゆっくりされたい方が多い。何か動作をしている方は、時間を気にされている。もしかしたら機内で仕事をしたいのかもしれない。お客様に合わせた会話ができるよう、日頃からさまざまな企業情報や、社会や経済など、多岐にわたるニュースをチェックしています。

中には、はじめから険しい表情で足早にご搭乗されるお客様もいますが、せめて機内では心地よく過ごしていただき、できれば笑顔にして送り出すのが私たちの務めです。私は、少しでも「難しいな」と感じたお客様とは早い段階で接点を持つよう心がけています。短い会話を交わしたり、「Wi‐Fiの接続に問題はありませんか」などとお声がけしたりすることで、リカバリーできるポイントをつくるのです。

「他の乗客の読書灯のせいで寝られない。注意してほしい」などのご要望があった場合は、特に慎重に対応します。お休みになるのも読書をされるのも、お客様の自由。ご要望をそのまま受け取るのではなく、たとえばこのケースなら双方の居住性を守るため、光が漏れないよう毛布で仕切りを作るなど、最大限の対応をしたうえで「あちらのお客様も読書をお楽しみになっていらっしゃいますので、もう少しお待ちいただけませんか」とお伝えします。ご要望がおありのお客様だけを特別扱いしないのも公平感を保つために大切です。

オリンピック・パラリンピックに向けて増えているのが海外からのお客様です。外国人のお客様の中には「日本人のほうが手厚いサービスを受けているのではないか」と感じてしまう方もいます。日本人のお客様だけにお声がけする(ように見える)ことがないよう、常に「見られている」という意識を持って接遇します。

私のフライト経験も1万数千時間を超えました。これからも、さまざまな方々との触れ合いから得た「気づき」を多くのお客様に還元できるよう、五感を研ぎ澄ませていきたいと思います。

私の必殺トーク術:「あの客を注意して」には慎重な対応を

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小松原由衣
ANAセールス 東京本店法人販売室
2005年全日本空輸に入社。15年「OMOTENASHIの達人コンテスト」で優勝。以後、VIPフライトも担当。18年4月より出向し、現職。

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(ANAセールス 東京本店法人販売室 小松原 由衣 構成=大高志帆 撮影=村上庄吾)

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