"行列日本一"スタミナ苑店主のスタミナ源
プレジデントオンライン / 2019年3月31日 11時15分
■チャンスは考え続けた先にある
赤羽駅からタクシーで15分。決してよくはない立地にもかかわらず行列が絶えず、日本一と謳われる焼き肉の名店、スタミナ苑。取材に訪れた雨の平日午後2時半にも、開店を待つ人たちの姿があった。
店の顔である豊島雅信氏は2018年60歳を迎えた。現在もホルモンの仕込みを自ら担当し、その丁寧な仕事ぶりが舌の肥えた客を唸らせる。どのくらい丁寧かといえば、一日15時間は働いている、と。
「手を抜いたらその分、明日暇になるんじゃないかと不安なんですよ。手を抜かなければ暇でも『仕方がない』ですませられるけど、『手を抜いたからお客さんが来なかった』と思うのが嫌なんだ」
もちろん、スタミナ苑もいきなり人気店になったわけではない。まだ暇な時期に当時、人気のなかったホルモンに着目し、工夫と研究を重ねるうちに秋元康氏や林真理子氏といった有名作家のアンテナに引っかかり、注目を集めるようになっていった。
「商売って一生懸命やっても流行らないときってあるでしょ。でも突然チャンスが来るときがある。うちはそのチャンスをつかんだんだ。大事なことは準備ができているかどうかで、できていなければただ通り過ぎていっちゃう」
本書にはこうした店の成り立ちや豊島氏の仕事哲学が書かれており、中小店の成功物語としても自己啓発の書としても興味深く読める。
ところで60歳にしてなお、一切手を抜かない力の根源はどこにあるのだろうか。
「ここに並んでいるお客さんたちですよ。あの人たちが『頑張れ』って僕にパワーをくれるの。だから白衣を着て前掛けをしめたら、気持ちが変わる。夜、白衣を脱いだら気が抜けて、風の音さえ聞こえなくなっちゃうけどね」
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兄が始めた「スタミナ苑」に15歳で加わる。1999年グルメガイド『ザガット・サーベイ』日本版で総合1位、2018年「食べログアワード2018ゴールド」受賞。
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(経済ジャーナリスト 宮内 健 撮影=尾関裕士)
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