セクハラ男性を即黙らせる3つの殺し文句
プレジデントオンライン / 2019年5月29日 6時15分
■50代のおじさんたちは雑談が苦手
「おめかしして、今日はデート?」「彼氏はいるの?」などと言ってしまうセクハラおじさんの肩を持つつもりはないのですが、彼らが唐突にそうした発言をしてしまう背景を知っておく必要はあると思います。まず、そもそも、50歳ぐらいのおじさんたちは雑談が下手な生き物なのです。年下の女性とエレベーターなどで一緒になってしまうと、天気のことぐらいしか話題がない。
しかも、彼らはバブルを経験した世代。若い頃は夏になると恋人と海へ行き、冬はスキーへ行くという恋愛が当たり前の時代に生きてきました。だから、おそらく彼らにとって恋愛は“皆がしている”ものであり、誰とでも共有できる話題なのです。だから二言目には「彼氏いるの?」となってしまいます。一方、今の20代、30代は恋愛が当たり前の世代ではないですから、「彼氏はいるの?」と聞かれるとドキッとしてしまう。そこにはいわゆる世代のギャップがあるわけです。
■男性が女性を舐めていることが根本の問題
しかし、セクハラのもっと根本的な問題はジェネレーションギャップではなく、男性が女性を下に見ている場合に出てくるということです。
例えば「お茶くみ」というと性差別の象徴のように言われますが、そのタスク自体は差別ではない。もし、職場で年配の男性の手が空いていれば、彼がお茶くみをしてもいいわけです。しかし、そういうケース・バイ・ケースではなく、いついかなるときもお茶くみが女性の仕事になってしまうことはよくありません。
私はよく企業の研修でもレクチャーをしますが、「出張から帰ってきた男性が、女性社員に『お土産を配っておいて』と頼むのはNGです」と話すと、男性たちは静まり返ってしまいます。つまり、みなさんそれをやったことがあるわけですね。「お土産を配るのが面倒だから、女性にやらせているんじゃないですか」と問いかけると、みなさんはハッとします。職場でそういった押しつけがあるようであれば、おじさんたちが女性をなめているということですから、女性からすると、なめられないようにしなければいけません。
■男性の虚を衝く3つのリアクション
男性から女性へのセクハラ発言にも、根底には相手を下に見ていることがあります。そこで、護身術として使える3つの“返し”を紹介します。これは現在進行形でセクハラ発言をされているときにその場を切り抜けるためのものであって、根本的な解決にはならないですが、こう返したら相手の男性は虚を衝かれてひるむのではないでしょうか。そのすきにその場から逃げてください。
1つ目は「チャックが開いていますよ」と言う。そうすると、男性は下を見るのでそのすきに逃げましょう。2つ目は「そのださいネクタイ、どこで買ったんですか」という嫌味。相手にショックを与えられるので、その場を去りましょう。3つ目は「お子さん、いくつでしたっけ?」と言って子供のことを想起させる。子供がいる男性ならハッと我に返ります。これは性的なことを匂わされているときに有効ですね。例えば体のサイズを聞かれているようなとき、果たしてそれを子供の前で言えるのか? と考えれば言えないわけです。どんなに子育てをしていない男性でも、女性にそんなことを言っている姿を我が子には見せられないでしょう。3つともポイントとしては、相手は何もできないと思い込んでいる男性に対して、女性から主体的にリアクションをすることです。
■深刻なハラスメントはその場で対応しない
ただ、こういった咄嗟の言い返しができない場合があります。例えば、2019年に入ってから、TV番組でアイドルの女性が大御所タレントに「得意の体を使ったらどうだ」という意味合いのことを言われた事件がありました。あれほどのひどいことを言われたら、その場で無理して反論する必要はありません。言われたときはショックでひどく傷ついているでしょうから、会社のセクハラ相談窓口に知らせるなど、専門的な知識を持っている人のところへ行ってください。「あなたが言われたことはひどいことですよ」と共感して聞いてくれるはずです。その後はその第三者を通して告発するなど、淡々と処理していくのがいいと思います。
人は言葉の暴力を受けると、後から「言われたとき、ああ言い返せばよかった」と悔やみますが、大きなショックを受けているときに、普通の人間がその場で何か対応することはとても難しいことです。
加えて、自分の働いている企業で女性差別が横行していると、「社会ってそんなものなのかな」と考えるようになってしまう危険性があります。
被害を自分にも非があったと受け止めないためには、客観的な情報を得ることが大切です。厚生労働省のハラスメントについての解説は、簡潔でとてもわかりやすくまとまっているのでお勧めです。
また、近隣の男女共同参画センターや公民館で無料で実施されている講演会に参加して知識を得るのもいいでしょう。いずれにしても自分だけでなんとかしようとしないことが大切です。
(大正大学心理社会学部人間科学科准教授 田中 俊之 写真=iStock.com)
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