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100円均一「買っていいモノ損するモノ」

プレジデントオンライン / 2019年6月4日 9時15分

※写真はイメージです。(写真=iStock.com/frema)

100円均一ショップでは、何を買うのが「おトク」なのか。消費経済ジャーナリストの松崎のり子氏は「季節商品やお試し買いにはいいが、食品や飲料には要注意。『100円=安い』というイメージで、本当に安いのかを考えなくなる」という――。

■季節イベント用のグッズは得意分野

われわれの暮らしになくてはならない「100円ショップ」。ダイソー、セリア、キャンドウの上位3社を合わせた店舗数は、フランチャイズを含め約5800店舗にのぼる。今や食品・日用品から衣類まで備える100円ショップだが、昨今はより安いディスカウントストアも増えてきた。ここでは100円ショップで買うべきオトク商品、買ってはいけないNG商品について紹介したい。

「100円ショップで買ってもいいものとは?」と聞かれた際に、筆者はこう答えることが多い。

①季節商品 ②お試し商品 ③緊急避難的な買い物

100円ショップに入ってまず目立つ場所にあるのは、まさに今必要な「季節商品」だ。この時期ならアウトドアやBBQグッズ、子供用の水泳ゴーグルや昆虫採集用品、女性のUVグッズなどもそうだ。一年のうちで季節商品の出番は限られている。毎年使うくらい頻度が高い家ならともかく、年に一度使う程度なら100円ショップで調達し、ワンシーズンで使い切るほうが合理的だ。

夏が終わるころにはハロウィーングッズが並ぶだろう。ハロウィーンが終わればクリスマス、クリスマスが終われば正月と、こうした季節イベント用グッズも100円ショップの得意とするところ。年に一度しか使わないのだから、お金をかける必要はない。

■趣味のグッズや調味料、緊急時の買い物に便利

また、気軽に試してみたいものを100円ショップで調達するのもよいだろう。例えば趣味に使う道具などだ。家庭菜園に挑戦したいなら、100円ショップでは植木鉢から培養土・肥料、もちろん種まで手に入る。手芸用品や、子供用の将棋セットなんかもある。和風の趣味でいえば、百人一首や、般若心経の写経セットにまで遭遇したことも。

本格的に趣味を始めようとして、立派な道具をそろえるのも悪くはない。しかし、お金をかけて三日坊主ではもったいない。まずは100円ショップの商品を使って、ローコストで始めた方が、飽きたときの傷が浅いだろう。

100円ショップ定番の便利グッズも、お試し商品のカテゴリーに入る。電子レンジで一人分のご飯が炊ける、即席ラーメンが作れる、手巻きずしが作れるなんてグッズは、試してみたくなるものだ。100円なら出しても財布はさほど傷まない。

料理好きな人なら、調味料を買うのもいい。少量だけで十分なハーブやスパイス、エスニック系の調味料も、100円ショップに並んでいる。売っているサイズは小さめなので、お試しにはぴったりだろう。

緊急避難的な買い物というのは、例えば出張先や旅先などで困った時のことだ。急に必要になったものがあれば、100円ショップに駆け込めば何とかなる。今どきの100円ショップには、男性ものの下着から靴下、ネクタイまでそろっている。ばんそうこうや冷却シート、スマホの充電コードも買える。雨具もタオルある。緊急時には、100円ショップは実にありがたい存在なのだ。

■食品や飲料を「買ってはいけない」本当の理由

では100円ショップで買ってはいけないものはなにか。その代表は、調味料を除く食品や飲料だ。クオリティーの話ではなく、ズバリ価格面である。かつてはスーパーやコンビニよりも安く買えたため、100円ショップのオトク度ナンバーワンは食品やペットボトル飲料だった。だが、平成後半にかけて事情が変わった。

安さを求める客にアピールするため、スーパーやコンビニエンスストアのPBブランド食品には100円を切るものが並び、ドラッグストアも客寄せのために食品を激安で並べ始めた。ドラッグストアなら菓子類が88~98円、ペットボトル飲料や缶コーヒーも78~88円程度で買える。100円ショップの優位性は薄い。

しかも、100円ショップはアプリやポイント制度に積極的ではないため、日常的に使う食品はPB商品やドラッグストアの商品を買い、その店でポイントを貯めたほうがトクだと言える。

■「よりどり2つで100円」は狙い目

100円ショップの最大の弱点は、その売りでもある100円という価格だ。すべて100円ならいちいち値札をつける手間がいらないから均一ショップが生まれたという逸話があるように、原則的には100円以下に値下げできない(店舗によっては見かけることはあるが)。そのため、割引が容易なスーパーやドラッグストア、ディスカウントストアに価格で負ける商品も出てきてしまうわけだ。PB商品の中にはわざと98円と2円下げ、100円ショップに対抗しているのではと感じるものも多い。

しかし、そこは100円ショップ側も考えている。最近は「よりどり2つで100円」という表示が登場している。100円という価格は崩さず、数で勝負というわけだ。ペットボトル2本で100円、菓子が3つで100円は、当たり前に見かけるようになった。この手の100円なら買ってもいいだろう。

なお、地方の大型店に行くと、大型のインテリアやエクステリア用品も扱っている。連結して使うコルクマットや組み立て式スチール家具のパーツが、一点100円で売られているのもよく見かける。一つで事足りるものならいいのだが、組み合わせるべきパーツがいくつも必要な場合は、割高になりかねない。ホームセンターやネットショップで購入した方が安くつかないか、冷静にカウントした方がいいだろう。

■「すべて100円」と言われると安く感じる

100円ショップの商法は、価格が均一であることにつきる。つまり、100円で売って儲かる商品も儲けが少ない商品も混じっているはずだが、それが客側には見えなくなっているのがこのビジネスだ。

われわれ消費者も、商品ごとにもし価格が違えば「この値段は安いのか? 他の店はもっと安いのではないか?」と考え、いちいち吟味するのだが、すべて100円ですと言われると、それをやめてしまう。「100円=安い」という印象が強いため、他で買った方が安いはずの商品があったとしても、そう感じなくなる。「まあいいか」と深く考えなくさせられるのが、100円という数字のマジックだ。

そのせいで「あれもこれもついでに」と手が伸びる。100~200円の買い物のつもりで店に入ったはずが、会計をしてみたら軽く1000円をオーバーしていたという覚えのある人は多いのではないか。

■「100円なら買っておくか」が一番の落とし穴

100円ショップで最も買ってはいけないもの、それは「とくに買うつもりじゃなかったけれど、100円なら買っておくか」と、つい手に取ってしまった商品である。レジに並ぶ前に、カゴの中を改めて確認し、入っている数をカウントすることをお勧めしたい。

最後に余談だが、10月の消費増税により、100円ショップが「110円ショップ」になったらどうしようかとひそかに気をもんでいる。

税率8%までは、だましだまし100円の看板のままで来たものの、消費税が10%になり「+10円」となるとさすがにキツイのではないか。各社もきっとネーミングに困っていることだろう。さらに、食品は軽減税率対象で108円のままだから、価格帯にもバラツキが出る。

すでに店頭で200円や300円といった100円以上の価格を展開する店も増えている。今後、「100円均一」というスタンスは維持できるのか。100円ショップを愛する者としては、その意味でも増税の行方から目が離せない。

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松崎のり子(まつざき・のりこ)
消費経済ジャーナリスト
雑誌編集者として20年以上にわたり、『レタスクラブ』『レタスクラブお金の本』『ESSE』などのマネー記事を担当。現在は雑誌やWebを中心に生活者目線で執筆中。また、「節約愛好家 激★やす子」のペンネームでも節約アイデアを研究・紹介している。著書に『お金の常識が変わる 貯まる技術 』(総合法令出版)、『「3足1000円」の靴下を買う人は一生お金が貯まらない』『定年後でもちゃっかり増えるお金術』(講談社)。著者公式サイト→【消費経済リサーチルーム】

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(消費経済ジャーナリスト 松崎 のり子 写真=iStock.com)

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