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コンビニは1店舗当たり何人の客が必要なのか

プレジデントオンライン / 2019年8月24日 6時15分

■都内コンビニ約7300店、1店舗当たりの商圏は

いまや私たちの生活に欠かすことのできないコンビニエンスストア。現在も増え続けており、全国に5万5000店舗超もある。東京都内のそれは約7300店舗で、5分も歩けば必ず見つかるというくらい密集している。この5分という数字は感覚的なものだが、実際はどうなのかを検証してみよう。

7300店舗という数字を見ても、正直ピンとこない。数字は大きくなればなるほどつかみどころがなくなって、リアリティを感じられなくなるものなのだ。そんなときは、何か別の数字と比べてみると理解しやすい。

たとえば、東京都の面積(約2194km2)と比較してみよう。コンビニ1店舗当たりの面積は、「2194÷7300≒0.3005km2」となる。つまり、約30万平方メートルごとに1店舗が存在するということだ。それが1店舗当たりの商圏といえる。

しかし、これではまだピンとこないので、図のように30万平方メートルを正方形に置き換えてみる。「正方形の面積=一辺×一辺」なので、一辺が約550mの正方形で表すことができる。コンビニはその中心に立地すると考えると、店舗から各一辺までの最短距離は275m。最も遠い場所である四隅の角までは、三平方の定理(1:1:√2)を使うと一辺の約1.4倍なので、「275×1.4≒390m」となる。

これを一般的な徒歩所要時間(1分=80m)で計算すると、それぞれ「275÷80≒3.5分」「390÷80≒4.9分」となる。なるほど確かに冒頭で述べたように5分も歩けばコンビニが見つかるという感覚は、数字的にも裏付けられたといえる。

■1店舗当たり2000人程度が妥当な数字だとわかる

さらに別の角度、人口からも見てみよう。コンビニ1店舗当たりの商圏にどれくらいの人が住んでいるのかを計算してみる。東京都の人口は約1384万人だから、「1384万÷7300≒1896人」。つまりコンビニ1店舗当たりの商圏に約1900人が住んでいるということだ。もちろん昼間の人の多さや、どのくらい車の通行量や人通りがあるのかも考慮しなければいけないが、これがコンビニ経営での採算ベースの1つの水準と考えられる。

ちなみに全国規模で見ても、日本の人口約1億2000万人に対し5万店舗だから、「1億2000万÷5万=2400人」となり、先ほど計算した値に近い。1店舗当たり2000人程度が妥当な数字だとわかる。ただし、地域差があり、都市部と郊外などではライフスタイルも違うため、あくまで1つの目安ではある。

いかがだろう。東京都に7300店舗のコンビニという漠然とした数字が、面積や人口という別の視点を加えることで、よりリアルなものとして実感をもってとらえることができたのではないだろうか。これが私が提唱する「データセンス」なのだ。複雑な計算をしなくても、今回のように簡単な割り算だけでも、その数字が持ついろいろな意味を読み取ることができ、マーケティングのセンスを磨くことにもつながる。

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堀口 智之 和から 代表取締役
山形大学理学部物理学科卒業。2010年、大人のための数学教室「和(なごみ)」を創業。月間600人を超える社会人が学ぶ。著書に『デキる大人になるレシピ 明日の会議ですぐ効く 伝わる数字の使い方』がある。

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(和から 代表取締役 堀口 智之 構成=田之上 信)

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