GAFA徹底解説「4社の実態と今後の動向」
プレジデントオンライン / 2019年12月6日 9時15分
■GAFAとは
米国のGoogle、Apple、Facebook、Amazonの4大ネット企業をGAFA(ガーファ)と呼ぶことに対し、中国の代表的な民間巨大企業で3大ネット企業のバイドゥ、アリババ、テンセントの3社を「BAT(バット)」と呼ぶ。中部大学特任教授の細川昌彦さんは、「中国は米国のGAFAをコピーした『BAT』で成功したが、国家主導が行き過ぎて、欧米の対中警戒感を強めてしまった。このままでは中国の『デジタル覇権』は失敗する」という。
中国のIT企業が「GAFA」になれないワケ
GAFAは、「神にも擬せられる力をもつ」といわれる。共通するのは、市場の変化をとらえた戦略を大胆に編み出していくマネジメント能力の高さである。GAFAはインターネットという市場を貪欲に開拓した。検索エンジン、音楽配信、SNS、eコマースなどの領域で、新しい稼ぎ方をいち早く見いだしていった。
一方、日本の主要企業は、品質の高い製品を提供する管理能力には優れていたが、従前のビジネスモデルにとらわれてしまった。この差は、時価総額のちがいに現れている。
日本からGAFAが生まれなかった根本原因
米国の経済成長を支えてきたIT先端企業の成長期待が低下しつつある。その1つが、2018年3月に起こったフェイスブックのデータ不正流出問題だ。グーグルに関しても、データセキュリティ面への不安が高まっている。ユーザーの個人情報をどう管理・保護していくかは、多くのIT企業に共通する課題だ。アマゾンに関しても、データ管理・保護に関する規制強化の影響は免れない。また、世界的にスマートフォンの販売台数は頭打ちだ。新興国では低価格モデルが需要を集めている。価格帯の高いアップルの新型iPhoneが人気を獲得するのは容易ではない。GAFAを中心に米IT先端企業の経営に関する慎重な見方は増えるだろう。
世界同時株安「GAFA」は評価されすぎか
■GAFAの規制
GAFAが提供するデジタルエコシステムの負の側面とは何か。いま、世界で最も富裕な上位1%の人たちが、世界全体の富の半分以上を所有している。わずか8人の大金持ちが、世界の半分に匹敵する富を所有しているともいわれている。このような問題は、前世紀には思いもよらなかったことでした。これは容認できることではなく、持続可能なことでもありません。なぜこのようなことが起きたのか。デジタルエコシステムの誤った働きが一因だ。
GAFAの法人税を上げて“富の再分配”せよ
■GOOGLE(グーグル)
実業家の朝倉祐介氏は、「グーグルの働き方は興味深いが、日本企業にとってはまったく参考にならないと思う。無料でランチを提供したからといって、業績が良くなるのかっていったら、そんなわけない」という。
グーグルの真似をする「大企業」は危ない
グーグルの創業者ラリー・ペイジは2002年、「なぜいまさらウェブ検索サービスを始めるのか」という問いに対し、「本当はAIを作っている」と答えたという。グーグルがAIを重要視しているように、現在のインターネットの先にあるのは、人間とコンピューターの融合だ。ジャーナリストの服部桂氏はマーシャル・マクルーハンの議論を紹介しながら、「インターネット全体が自然をも支配する第2の環境になっていく」と予想する。
グーグルが作ったのは検索ではなく“AI”
「AIが人の仕事を奪う」という危機感が急速に広まったのには大きなきっかけがある。それは、「AIの王者」であるグーグルが、2012年にディープラーニングという技術的な進化をAI分野で成功させたことだ。そのグーグルは「人事ビッグデータ×AI」によって、人事面での生産性を高めている。グーグルの人事責任者であるラズロ・ボック氏は著書の『ワーク・ルールズ!』(東洋経済新報社)のなかで、同社の採用・育成・評価の内容について、発展的な対話が重視されていることに着目すべきと述べている。
グーグルが人間同士の対話を重視するワケ
■Apple(アップル)
iPhoneやMacを生み出したアップルと、掃除機や空調家電で知られるダイソン。いずれの企業も顧客価値の高い商品をつくり出すことによって高収益を挙げている。一方、日本にも優れたものづくりの力を持った企業が数多く存在するにもかかわらず、その多くが低収益に苦しんでいる。なぜ、このような違いが生じているのか。その理由は、多くの日本企業が依然として「機能的価値」のみを重視したものづくりをしているからだ。
日本でアップルやダイソン生まれない理由
「偉大な大工は、見えなくてもキャビネットの後ろにちゃちな木材を使ったりしない」。
これは、2011年10月に亡くなったアップル創業者スティーブ・ジョブズの言葉である。製品の外装だけでなく、内部のマザーボードにまで美しさを求めたジョブズは、チップや回路をもっとシンプルで魅力的な配置にしたいと考えた。技術者たちはマザーボードをのぞく者など誰もいないと反論したが、これに対しジョブズが放ったのが冒頭の言葉であった。製品の本質を重視する彼の精神は、禅の一派である曹洞宗の開祖・道元の教えに通じるところがある。
スティーブ・ジョブズのシンプル思考と禅の思想【1】
スティーブ・ジョブズのシンプル思考と禅の思想【2】
■Facebook(フェイスブック)
「Facebook」の創業者マーク・ザッカーバーグの2015年の資産額は、334億ドル。14年の285億ドルから17%増で、世界ランキングも21位から16位へと上昇した。16年に公表された資産額は446億ドルとさらに稼いで世界ランキングは6位に大躍進した。
資産446億ドル!Facebook創業者は世界6位の最年少大富豪
フェイスブック(FB)の英国法人の納めた法人税が、2014年度わずか4327ポンド(約80万円)だったことが、2015年10月、英国で大きなニュースになった。
全世界で29億ドル(約3575億円)の利益を計上したFB社の法人税が、平均的な労働者の所得税や社会保険料よりも少ないとは常識では考えられない。
英国のフェイスブックはなぜ法人税80万円なのか
国内で2500万人が利用していると言われるFacebook。プライベートの日記代わりから仕事のコネクション作りまで、使い方は人それぞれ。その中で、時々見かけるのが「仕事の愚痴」となる投稿だ。他のSNSと比べて、人目を意識した投稿が多いと言われるが、不平不満を漏らしたくなることはあるもの。Facebookで仕事の愚痴を投稿することは、どこまでなら許されるのか。
Facebookで仕事の愚痴、どこまでなら許される?
■Amazon(アマゾン)
2018年3月、フェイスブックが個人情報の不正流出でユーザーが減少したが、アマゾンは業績好調で「一人勝ち」だった。GAFAの明暗が分かれるのはどこか。法政大学大学院の真壁昭夫教授は「GAFAのビジネスモデルは転換期にある」と分析する。
“GAFA”でアマゾンが一人勝ちになる理由
今後「GAFA」で覇権を握るのはアマゾンではないかと、『ITビッグ4の描く未来』著者の小久保重信氏は考える。その理由は一番何にでも「化けうる」業態だからだ。
1994年に書籍のネット販売から始まった同社は、いまや売上高で世界最大手のウォルマートを猛追する企業に成長した。成長の秘訣は、「稼いだ利益を惜しげもなく使い、投資を続ける」ことにある。
「GAFA」でさらに化けるのはアマゾン
時価総額1兆ドルを超えるアマゾン。実店舗での展開にも乗り出し、成長は衰えをしらない。だが世界的な小売コンサルタントのダグ・スティーブンスは「この大成功のなかにこそ衰退の種がある。私は10年以内にアマゾンは失速すると考えている」という。彼が指摘する「5つの理由」とは何か。
アマゾンが10年以内に失速する5つの理由
(プレジデントオンライン編集部)
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