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なぜ、途中下車すると電車賃が安くなるのか?

プレジデントオンライン / 2019年10月1日 6時15分

■1キロあたりの単価は必ずしも一律ではない

先日、サッカーを観戦するため、住んでいる秋葉原駅から埼玉県の大宮駅まで、電車で向かいました。

埼玉は私の故郷です。乗車中にふと懐かしくなり、川口駅で途中下車し、駅前で川口名物の“太郎焼”を購入してから大宮へ向かったのですが……。大宮駅で降りた際、表示されたSuicaの残高に、どうにも違和感を覚えたのです。あれ、よくよく見ると、引き落とされている額が少ないような気が……?

秋葉原―大宮間のIC運賃は473円。ですが、このとき私は川口駅で途中下車をしていますから、運賃は少なくとも464円よりも高くなるはずです。

しかし残高を確認してみると、合計で440円しか引き落とされていません。モバイルSuicaから明細を確認してみると、秋葉原―川口、川口―大宮の運賃はともに220円。エラーではないようですが、なぜ途中下車すると運賃が安くなるのでしょうか。

カラクリを調べてみると、驚くべき事実がわかりました。

JRの運賃は営業キロメートルにより算出しており、1キロメートルあたりの単価は必ずしも一律ではないのです。

今回のケースで言うと、秋葉原―大宮の営業キロメートルは約28キロメートルで、26~30キロメートル時の運賃480円(IC時473円)が適用されます。

■途中下車したほうが安くなるケースとは

川口駅は秋葉原―大宮間のちょうど中間地点にあり、途中下車をした場合は営業キロメートルがそれぞれ約14キロメートルと約15キロメートルになります。そのため、両者の運賃は11~15キロメートル時の運賃、220円(IC同額)が適用になります。そのため、「途中下車したほうが安くなる」という事態が起こったのです。

営業キロメートルごとの運賃から「1キロメートル走るのにいくらかかるか」を考えると、電車特定区間と呼ばれる東京・大阪近郊の運賃は、15キロメートルを走ったときが最もお得になるといえます。そのため、今回のようなケースでは途中下車が有効になるのです。

もちろん、これはほかの区間でも有効に活用することができます。たとえば、東京駅から武蔵小金井駅まで行く場合は、中野駅で途中下車するとお得になります。もし気になっているお店や観光スポットなどがあれば、気軽に途中下車してもいいでしょう。

逆に言えば「途中下車する手間がかかる」とも言い換えられますが、Suicaではなく通常の乗車券を購入すると、途中下車する必要はなく切符を分割して購入できます。

■区間によっては120円以上安くなるところもある

スタート地点の駅では最初の区間にあたる切符だけを改札に通し、ゴール地点では改札ですべての切符を駅員さんに渡せば受付されます。IC運賃で乗れないというデメリットはありますが、普通にSuicaで乗る場合よりもお得になる場合がほとんどです。

……ですが、出かける前にいちいち乗車区間の距離を調べ、どこで分割すればお得なのか、ひたすら運賃表とにらめっこするのは時間もかかりますし、鉄道好き以外には苦行のような作業です。さすがに現実的ではありません。

Webサイト「分割.net」では、乗る区間と降りる区間を入力するだけで最適な切符の分割方法を計算、提示してくれます。区間によっては120円以上安くなるところもあり、道中で飲み物が買えてしまいます。家族4人で往復すれば、1000円近い節約になりますね。

世の中にはまだまだ知らない節約術があることがわかり、楽しい今日この頃です。

※編集部註:消費増税が実施されたため、誌面での初出時から金額が変わっていますが、本稿では消費増税後の金額に直しています。

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山野 祐介(やまの・ゆうすけ)
行動するお金博士
1991年生まれ。自らの節約生活をもとにした「1週間食費0円生活」を月刊誌で連載中。節約術やお金の最新事情に精通。

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(行動するお金博士 山野 祐介)

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